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No.3963 職場におけるセクハラ、マタハラ等への防止対策を強化

 生保セールスに役立つ記事No.3956で既報のとおり、「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が2020年6月1日に施行され(中小企業は2022年4月1日に施行、それまでは努力義務)、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが、事業主の義務となりました。

 また、職場におけるセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについては、今回の改正法により、防止対策が強化されました。こちらについては、事業所の規模を問わず、2020年6月1日施行となっています。

● 他社の労働者にかかわるセクハラも対象範囲

 職場におけるセクシュアルハラスメントとは、職場において行われる、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件について不利益を受けたり、性的な言動により就業環境が害されることをいいます。

 性的な言動を行うものは、労働者を雇用する事業主や上司、同僚に限らず、取引先等の他の事業主またはその雇用する労働者、顧客、患者またはその家族、学校における生徒等も含まれます。異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当します。また、被害を受ける者の性的指向や性自認にかかわらず、「性的な言動」であればセクシュアルハラスメントに該当します。

 職場におけるセクシュアルハラスメントについては、男女雇用機会均等法により事業主に防止措置を講じることが既に義務付けられていましたが、2020年6月1日より、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止や自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応が加わりました。

 自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応とは、他社の労働者から自社の労働者がセクシュアルハラスメントを受けた場合に、事業主は雇用管理上の措置として、適切に相談に対応する必要があります。逆に、自社の労働者が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合に、他社から事実確認や再発防止といった他社の雇用管理上の措置の実施に関して必要な協力を求められたらこれに応じるように努めるというものです。

● 育休制度利用を希望する男性も対象

 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントとは、職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることをいいます。

 妊娠の状態や育児休業制度等の利用等と嫌がらせとなる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当します。業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性に基づく言動によるものはハラスメントには該当しません。

 職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントについては、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法により事業主に防止措置を講じることが既に義務付けられていましたが、2020年6月1日より、相談したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止が加わりました。

 なお、今般の法改正により、職場におけるハラスメントの防止のために、法および指針において、事業主や労働者に対して、主に以下の事項について努めることとする責務規定が定められました。

【事業主の責務】

  1. 職場におけるハラスメントを行ってはならないことその他職場におけるハラスメントに起因する問題に対する自社の労働者の関心と理解を深めること
  2. 自社の労働者が他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うよう、研修その他の必要な配慮をすること
  3. 事業主自身(法人の場合はその役員)が、ハラスメント問題に対する理解と関心を深め、労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと

【労働者の責務】
  1. ハラスメント問題に関する理解と関心を深め、他の労働者(※)に対する言動に必要な注意を払うこと
  2. 事業主の講ずる雇用管理上の措置に協力すること

(※) 取引先等の他の事業主が雇用する労働者や、求職者も含まれる。

参照: 厚生労働省都道府県労働局雇用環境・均等部(室)「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」

2020.07.20
(セールス手帖社 高田 康正)