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No.3930 オンライン診療に時限的・特例的措置
~対応医療機関の一覧も厚労省HPで公表~

● 新型コロナ感染拡大の中、さらに踏み込んだ緩和策へ

 生保セールスに役立つ記事No.3898で、新型コロナウイルスの感染が拡大する中での「情報通信機器等を使った診療の緩和策」について取り上げた。この時点での措置は2月28日の厚労省医政局からの事務連絡によるもので、緩和内容も「初診から」ではなく、「すでに処方されている慢性疾患治療薬を処方する」など限定的な取り扱いとなっていた。

 今回、この施策がさらに踏み込まれることになった。4月10日の事務連絡で、時限的・特例的措置として「初診から電話等を用いた診療」まで可能とする緩和策が示されたのだ。これは、4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」で示された方針を具体化したものだ。

 これを受け、すでに厚労省のHP上では、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について」と題した特設サイトが設けられている。そのうえで、一般向けに解説した「電話・オンライン診療の手順」や、「全国の対応医療機関リスト」も公表された。患者の視点から、改めてこの手順やリストについて確認してみよう。

 この時限的・特例的措置による診療の手段となるのは、電話もしくはスマホのアプリ機能やメール等となる。まず、受診したい医療機関がどのような対応を行っているかについて、上記のリストもしくは医療機関のHPから確認する(すでにかかりつけの医療機関がある場合は、対応しているか否かにかかわらず「電話・オンライン診療の活用」について相談することが望ましいとしている)。ちなみに、スマホのアプリ機能を使うケースとしては、搭載されているカメラやマイク機能を使ってのビデオ通話などが想定される。

● 医療機関の対応を確認したうえで、まずは電話等による診療を予約

 次に、受診したい医療機関の対応を確認したうえで、電話・オンライン診療の事前予約を行う。電話の場合は、保険証などの情報を医療機関に伝えたうえで予約する。なお、オンライン診療については、医療機関によって対応が異なるのでそれぞれのHPで確認したい。この予約にもとづいて、医療機関側から患者の電話に着信、あるいはオンラインでの接続がなされて診療が開始される。ここで求められた個人情報を伝えたうえで、症状などを説明するという流れになる。

 薬が処方された場合は(麻薬や向精神薬の処方は不可)、最寄りの薬局を医療機関に伝えたうえで診察後に薬局に連絡する。これにより、薬局に出向いて薬を受け取り、そこで服薬指導を受けることも可能だ。なお、薬局によっては、やはり電話やオンラインによる服薬指導を行っていることもある。その場合、その後に薬を自宅に配送してもらうこともできる。いずれにしても、事前に最寄りの薬局を確認して対応を相談しておきたい。

 ちなみに、患者の病態・症状などによっては、電話やオンラインによる診療だけでは診断や処方が困難ということもある。そうした場合、医療機関に来訪して受診するよう勧められることもあるので心得ておきたい。

 いずれにしても、先に述べたようにこの施策は時限的・特例的なもので、新型コロナウイルスの感染が収束するまでの間に限定される。その間、厚労省は原則として3か月ごとに改善に向けた検証を行うとしている。感染の収束後にスタンダードな診療形態となるかどうかを見すえるうえでも、厚労省の検証結果に注目することが必要だ。

2020.05.25

田中 元(たなか・はじめ)

 介護福祉ジャーナリスト。群馬県出身。立教大学法学部卒業後、出版社勤務を経てフリーに。高齢者介護分野を中心に、社会保障制度のあり方を現場視点で検証するというスタンスで取材、執筆活動を展開している。
 主な著書に、『〈イラスト図解〉後悔しない介護サービスの選び方【10のポイント】』『介護リーダーの問題解決マップ -ズバリ解決「現場の困ったQ&A」ノート -』(以上、共にぱる出版刊)、『スタッフに「辞める!」と言わせない介護現場のマネジメント』(自由国民社刊)、『現場で使えるケアマネ新実務便利帳』(翔泳社刊)など多数。

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  • 第3章 【応用編②】対看護・保健連携で相手の得意エリアをつかみとるポイント
  • 第4章 【応用編③】対リハビリ職との連携では自立支援・重度化防止がカギとなる
  • 第5章 【応用編④】栄養と口腔ケアにかかわる専門職との連携のポイント
  • 第6章 【応用編⑤】対行政・包括等との連携では複雑化した課題解決をめざす
  • 第7章 【応用編⑥】「共生社会」をめざす連携で生まれる介護現場の新たな課題