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No.4607 中小M&Aでアドバイザーが必ず確認する項目を一部紹介

● 思いは同じ「トラブル回避と円満な承継」

 第三者承継(M&A)では、譲渡側・譲受希望側が初対面の場合がほとんどで、お互いの会社や事業を知っていくことからスタートする。だからこそ、譲渡側は「自社や事業の価値を適正に判断してほしい。トラブルなく成約したい」と思い、譲受希望側は「思い描いている事業展開のイメージを承継後に実施可能であろう事業を譲り受けたい。承継後にトラブルが発生する可能性がある事業は避けたい」と思っている。

 今回、中小M&Aのアドバイザーがより良い成約に向けて支援する際、必ず確認している項目を一部お伝えする。

● 『貸借対照表』での確認項目

 M&Aで譲渡企業の実態を知るために貸借対照表を確認されると思うが、実は会社によっては実態と差がある場合がある。故意ではなく、長年の経営で発生した事柄が積み重なって乖離してしまっている場合もあるのだ。

 譲渡企業の実態を正しく把握するためにも、M&Aアドバイザーは下記の項目を確認している。譲渡価額にも係わってくる項目でもあるため、入念にチェックされることをお勧めする。

<チェックポイント一例>

  1. 計上されている資産は実在しているか
  2. 帳簿価額と時価に大きな乖離はないか
  3. 過去に貸し倒れとなった売掛金が計上されたまま残っていないか
  4. 簿外資産はないか
  5. 簿外負債はないか
  6. 社長が個人保証(人的保証・物的保証)しているものはないか

 下記に可能性として考えられるものを一部掲載させて頂く。

  • 過去、適正に減価償却していない機械や車両等の資産がある
  • 新しい機械の購入時、古い機械を下取りに出したが消去仕分けが漏れてしまい、古い機械が資産に計上されたままになっている
  • 購入した時と現在の時価が大幅に乖離する土地や有価証券がある
  • 経年劣化が激しい売れ残り在庫の評価額の減算がされていない
  • 返品されてきた商品の在庫の計上漏れがある
  • 簿外資産がある。経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)に加入し、40か月以上掛け金を払って未解約で残している
  • 簿外負債がある。退職金規程があり、現時点で既に発生しており今後支払うことになる退職金がある

など

● 売却しない資産を予め伝えておく

 前述の項目を確認される際、“売却対象外とする資産”がないかも併せて確認が必要だ。

 例えば、資産計上されている“社長が使用している車両”を譲渡側の社長が承継後も使用したいという希望があれば、売却対象外の資産として譲渡契約書に明記する必要が出てくる。

 最初から売却対象外としておくことが重要で、交渉序盤であれば譲受希望側の理解も得やすい場合が多いが、財務調査も終え、譲渡価額も確定した交渉終盤で伝えることになると、条件が悪くなる可能性や譲受希望側の印象も悪くなってしまうので、注意が必要だ。

2024.01.22

山崎 美穂(やまざき・みほ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。

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