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No.4212 不妊治療と仕事の両立

 近年の晩婚化等を背景に、働きながら不妊治療を受ける方が増加しています。しかし、仕事と不妊治療との両立ができず、離職する方も増加しています。両立に困難を感じる理由は、通院回数の多さ、精神面での負担の大きさ、通院と仕事の日程調整の難しさなどがあります。職場内で不妊治療についての認識があまり浸透していないこともあり、また治療を受けていることを職場に知られたくない労働者もいます。

 企業にとって、人材を失うことは大きな損失であり、また従業員が働きやすい環境を整えることは、有望な人材の確保という点からも大きなメリットがあり、企業には、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備がより一層求められます。

● 1. 不妊治療について

 不妊の原因について検査を行い、その原因に応じて治療を開始しますが、検査しても原因がわからない場合もあり、また治療に伴う検査や投薬など、身体に大きな負担がかかることもあります。不妊治療は、妊娠・出産まで、あるいは治療をやめる決断をするまで続きます。治療を始めてすぐに妊娠する場合もあれば、何年も治療を続けている場合もあります。

● 2. 不妊治療と仕事の両立を支援する助成金
   -両立支援助成金(不妊治療両立支援コース)-

<対象事業主>
 次の①~⑥のいずれかまたは複数の制度を導入し、労働者に利用させた中小企業事業主
 ① 不妊治療のための休暇制度(多目的・特定目的とも可)
 ② 所定外労働制限制度
 ③ 時差出勤制度
 ④ 短時間勤務制度
 ⑤ フレックスタイム制
 ⑥ テレワーク

<申請のステップ>
社内ニーズ調査 ⇒ 就業規則等の規定・周知 ⇒ 両立支援担当者の選任
⇒ 労働者のための「不妊治療両立支援プラン」の策定

<支給額>
A 「環境整備、休暇の取得等」
 最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用 → 28.5万円(36万円)
B 「長期休暇の加算」
 Aを受給し、労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得 → 28.5万円(36万円)

* A、Bとも( )内は生産性要件を満たした場合の支給額
* Bは1事業主当たり1年度に5人まで

● 3. 不妊治療への保険適用

 不妊治療に係る経済的負担の軽減を図るため、令和4年4月から保険適用とされることとなりました。

 保険適用までの間、現行の不妊治療の助成制度について、所得制限の撤廃、助成額の増額,助成回数のカウント見直しなど、令和3年1月から大幅な拡充が行われています。

参照:仕事と不妊治療の両立について(厚生労働省)

2021.11.29

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。