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No.4207 検査院、倒産防止共済の改善処置を国税庁に要求

● 倒産防止共済、掛金を経費計上するためには、明細書必要

 令和3年10月11日付で、会計検査院は「所得税の申告における倒産防止共済特例の適用に伴う返戻金額の収入計上に係る審査体制の整備等について」という改善処置を国税庁に要求した。

 今回、改善処置の対象となっているのは、中小企業基盤整備機構が運営している中小企業倒産防止共済である。

 中小企業倒産防止共済制度とは、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度で、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられる(ただし、借入後は共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除される)。

 要求はいずれも所得税に関するもので、項目は2つある。

 1つは、所得税において倒産防止共済の掛金を支払った際における処理に関するものである。

 所得税法及び法人税法に基づく取扱いでは、共済契約に係る掛金納付額の経費計上は認められていない。ただし、倒産防止共済特例を適用した場合には、個人又は法人がそれぞれ各年又は各事業年度において支出した共済契約に係る掛金納付額を、それぞれその支出した日の属する年分の事業所得又は事業年度の所得の金額の計算において経費計上を認めることとなっている。

 倒産防止共済特例を適用するためには、確定申告書等に租税特別措置法に規定する金額の経費計上に関する明細書の添付が必要となる。しかし、所得税においては、明細書の様式が定められていないため、適用の意思表示としての必要な記載があれば、特例適用を認めるという運用がなされていたが、検査院が書類における特例適用額の記載の有無等を確認したところ、結果的に適用要件を満たしていないと思われる申告が半数以上あったと指摘されている。

● 年内に国税庁から手引きが公表される予定

 もう1つは、所得税において倒産防止共済を解約した場合の収入計上に関するものである。

 倒産防止共済を任意解約した場合、上記の倒産防止共済特例を適用して掛金納付額を経費計上していれば、解約返戻金額は収入計上する必要があるが、実際には、相当数の任意解約者の返戻金額の収入計上が適切に行われていなかったと指摘されている。

 これらの改善要求を受けて、国税庁は「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を、所得税における倒産防止共済特例の明細書として公表した。また、任意解約時の収入計上についても、処理方法などをまとめた手引きを今年の12月中に公表する方針となっている。

2021.11.22

村田 直(むらた・ただし)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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