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No.4205 11月は下請等への「しわ寄せ」防止キャンペーン月間

● 大企業と中小事業者が共存共栄となるために

 「下請中小企業振興法」という法律をご存じでしょうか。労働基準法に比べると聞きなじみがない法律かと思いますが、昨今の働き方改革関連法と関連しています。

 働き方改革関連法により、労働基準法の時間外労働の上限規制、年次有給休暇の確実な取得(年5日)などの改正が次々と施行されていますが、これを受けて大企業・親事業者が長時間労働の削減等に取り組んだことによって、下請等中小事業者に対して適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣や附帯作業の要請などの「しわ寄せ」が生じている場合があります。

 そこで下請中小企業振興法では、親事業者は、自らの取引に起因して、下請事業者が労働基準関連法令に違反することのないよう配慮することや、やむを得ず短納期または追加の発注、急な仕様変更などを行った場合に下請事業者に生じるコストの増加分を代わりに負担することなどが新たに盛り込まれました。

 また、「労働時間等設定改善法」では、他の事業主との取引を行う場合において、長時間労働につながる短納期発注や発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮することが、事業主の努力義務となっています。

● 下請等中小事業者にしわ寄せが行かない発注を

 このようなことから、厚生労働省では11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」と定め、集中的な周知・啓発の取り組みを行ってます。この機会に適正なコスト負担を伴わない短納期発注、急な仕様変更、人員派遣や附帯作業の要請などを行っていないか確認してみましょう。

 同キャンペーンでは、他社との取引において次のような取組が行われるよう、社内に周知・徹底を図るように呼び掛けています。

① 週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入等の短納期発注を抑制し、納期の適正化を図ること。
② 発注内容の頻繁な変更を抑制すること。
③ 発注の平準化、発注内容の明確化その他の発注方法の改善を図ること。

 厚労省サイトには、どのようなものが「しわ寄せ」事例とされるのか、またどのように「しわ寄せ」を改善したらいいか具体的な事例があげられているので、参考にご覧いただければと思います。

参照:
 厚生労働省 11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」です
 働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」事例/「しわ寄せ」改善事例集

2021.11.15

半田 美波(はんだ・みなみ)

社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。