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No.4202 地震で自宅が火事に! 火災保険で補償されるの?

 2021年10月7日深夜に東京都や埼玉県で震度5強の地震が発生しました。

 この地震の影響で、鉄道会社の一部が運転を一時見合わせるなどしたため、仕事などから帰宅する人たちの足を直撃し、帰宅困難者が発生しました。JR東京駅前のタクシー乗り場などでは、タクシー待ちの人々が長い列を作ったようです。また、高層建物では「エレベーターが止まった」などの通報も相次ぎました。

● 地震による火災は火災保険では備えられない?

 い今回の地震では、広範囲にわたる建物の被害は発生しなかったようですが、一般的にイメージされるような地震による建物損壊の他にも気にしておきたいことがあります。それは、地震による建物の火災です。今回も、原因が地震によるものか否か本稿執筆時点では不明ながら、自宅などが火災になったケースがあるようです。

 ところで一般論として、もし地震による火災が発生した場合、「火災で建物などが燃えた」ということから、火災保険の補償の対象になると直感的に考える方も少なくないようです。しかし、残念ながら地震による火災は、原則として火災保険の補償の対象にはなりません。火災保険に地震火災費用特約が付帯されていれば、所定の場合に地震火災費用保険金は支払われますが、金額は原則として火災保険金額の5%(上限300万円)と、補償としては心もとないものです。

● 地震による火災には地震保険で

 それでは、このリスクに保険で備えるとすれば、どのような方法があるか考えてみましょう。まず挙げられるのは地震保険です。地震保険というと、地震による損壊や津波による被害を連想される方が少なくありませんが、地震による火災の際も地震保険の出番となります。もっとも、地震保険の補償は原則として火災保険の保険金額の30%~50%で、建物の場合5,000万円、家財は1,000万円が上限となります。このため、地震保険だけでは補償が十分ではないのではないかと不安に思う方もいらっしゃいます。

● 地震火災に上乗せの補償も

 地震による火災に十分に備えておきたい方もいらっしゃることでしょう。そのような方には、地震保険の補償をさらに上乗せする方法もあります。地震保険の地震保険金と火災保険の地震火災費用保険金とあわせて、火災保険金額の80%または100%まで補償する方法です。この補償を得るためには、地震火災費用特約を5%から30%や50%に引き上げたり、別途補償上乗せの特約を付帯したりなど、いくつかのやり方がありますが、保険会社によって異なります。補償の内容は保険料にも影響しますので、何を組み合わせれば必要な補償となるか、よく検討しましょう。また、地震火災以外(損壊など)にも補償を上乗せできる保険会社もあります。

 今回解説したことは、火災保険や地震保険に詳しいFPや保険募集人の方々には常識かもしれませんが、一般の方々の中にはまだまだご存じない方も少なくありません。お客様との信頼醸成のための情報提供として是非活用いただければ幸いです。

2021.11.08

【参考情報】

 生命保険の募集人の方は、上記のような地震保険の話から生命保険の話につなげることも可能です(詳しくは以下の書籍が参考になります)。

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第7話 地震が起こると言われているけど、地震保険には入った方がよいの?

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https://www.fps-net.com/php/cms/cmsDtl.php?id=36&categorycd=0


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第3章 アプローチの実践・損保の話題からリスクチェックへ
個人編1 分譲マンションは頑丈だから地震保険はいらない?

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A4判/80ページ
https://www.fps-net.com/php/cms/cmsDtl.php?id=34&categorycd=0

水谷 力(みずたに・ちから)

株式会社セールス手帖社保険FPS研究所
社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/組織開発コンサルタント
大手保険会社在職中にFP資格やコーチング資格を取得。現在は各種執筆活動などをおこなっている。著書には、「違いを生み出すファーストアプローチ」「違いを生み出す生損保リスクチェック」(いずれもセールス手帖社保険FPS研究所)がある。