お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4088 自宅で過ごす時間の出火に注意!警報器は定期的な点検を

 旅行やイベントの自粛傾向が続く中、料理などインドアで完結する趣味を楽しむ人が増えています。仕事でもテレワークが当たり前の形になりつつあり、平日も休日も自宅で過ごすという日常が珍しくなくなりました。そこで注意したいのは使用頻度の多い、ガスコンロなどからの出火です。被害拡大の防止に有効な、住宅用火災警報器の点検方法とともに確認しましょう。

● カセットコンロ使用時の火災にも注意が必要

 東京消防庁のデータによると、令和2年のガスコンロ火災は管内で397件発生しており、前年から15.1%増加しました。とりわけ緊急事態宣言が発令されていた5月の件数が多く、自宅での調理機会との関連性をうかがわせます。

 実際に火災が発生した事例では、「テレワーク中にガスコンロを使用して火を消し忘れた」「オンライン飲み会実施時に調理中であることを忘れていた」といったものがあります。自宅のPCを通じて仕事や会話に没頭すると、他の物事が頭から離れてしまいがちです。とりわけ火を使った「ながら作業」は危険が大きいため、完結させてから用事に臨むのが良いでしょう。

 また家庭内の鍋料理や焼肉で重宝される、カセットコンロも注意が必要です。携帯性に優れ手軽に使える点は魅力ですが、燃料のカセットボンベが危険物であることを忘れてはなりません。コンロに適合しないボンベの使用や装着方法の誤りはもちろん、ボンベを熱してしまう状況下での使用が火災につながります。例えばカセットコンロに大きな鉄板を乗せて調理すると、ボンベ部分を覆った鉄板から熱が伝わり、爆発のリスクが高まります。

 最近ではカセットボンベに直接取り付ける簡易ガスバーナーの普及により、炙り料理やDIYを楽しむことも可能です。しかし使い始めからバーナーを傾けていたり、取り付け不良によってガスが漏れ出し、異常燃焼が発生するケースも報告されています。必ず使用前に点検し、「ボンベを持つ手に冷気が当たる」「玉ねぎの腐ったような臭いがする」「栓が閉まっているのにシューシュー音がする」など、ガス漏れの兆候があったら使用を避けましょう。簡易的な製品こそ感覚に頼らず、取り扱い説明書をよく読むことも大切です。

● 住宅用火災警報器の効果と点検方法

 火災防止に大きな役割を果たすものとして、平成22年から全ての住宅に設置が義務づけられている、住宅用火災警報器があります。しかし警報器未設置による罰則規定がないこともあり、設置率は未だ100%とはなっていません。東京消防庁の令和元年のデータによると、警報器が設置されている住宅と比較して未設置の住宅では、火災1件あたり平均焼損床面積が約4.5倍となっています。同様に火災1件あたり平均損害額は約3.6倍、火災100件あたり死者発生数は約3.4倍にのぼり、住宅用火災警報器の有無によって被害の大きさが異なることを示しています。以下は被害を防いだケースの一例です。

  • 2階寝室で夫の寝たばこにより布団に着火したが、1階の妻が警報音で駆け付け初期消火を行った
  • 下の階で断線した電気コードから3~5cmの炎が立ち上ったが、上階で警報を聞いた住人が炎を息で吹き消し119番通報した
  • コンロを消したつもりで外出し空焚き状態の鍋から煙が発生、隣人が警報器の鳴動音と煙に気づき119番通報を行った

 以上のように炎が燃え広がる前に警報器が反応し、それに気づいた住人や隣人が迅速な対応を行うことで被害を抑えています。しかし警報器の設置から年月が経つと、電子部品の劣化や電池切れで作動しないケースもあるため注意が必要です。いざという場面で警報器が役に立たない事態を避けるには、定期的に点検すると良いでしょう。

 具体的には本体のボタンを押すか、ひもを引くことにより点検します。正常な場合はそれを知らせる音声や警報音が鳴ります。点検で反応しない場合は故障の可能性があり、東京消防庁では少なくとも半年に1回以上の点検を行うよう推奨しています。大切な財産と命を守るため、日頃から防火につながる行動を取りたいものです。

参照: 東京消防庁「住宅用火災警報器の設置で住宅火災の被害軽減!」

2021.03.29
(セールス手帖社 栗原賢二)