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No.4047 確定申告における所得金額調整控除の適用

● 所得金額調整控除は2つある

 令和2年分年末調整において、所得金額調整控除申告書が新設されたことにより、「所得金額調整控除」という用語にも少しは慣れてきたと思うが、実は「所得金額調整控除」は2種類あり、年末調整で出てきたものはその1つに過ぎない。「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除(以下、「所得金額調整控除(子ども等)」)」がそれである。

 年末調整に出てこなかったもう1つの方は、「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除(以下、「所得金額調整控除(年金等)」)」である。

 平成30 年度税制改正において、給与所得控除、公的年金等控除及び基礎控除の見直しが行われ、給与所得控除額及び公的年金等控除額が10 万円引き下げられるとともに、基礎控除の額が10 万円引き上げられることとされたため、給与所得、年金所得のいずれかを有する方については、基礎控除との控除額の振替により負担増は生じなくなる。

 しかし、給与所得、年金所得の両方を有する方については、給与所得控除額及び公的年金等控除額の両方が10 万円引き下げられることから、基礎控除の額が10 万円引き上げられたとしても、給与所得、年金所得の金額によっては、給与所得控除額及び公的年金等控除額の合計額が10 万円を超えて減額となり、負担増が生じるケースがあり得ることとなる。このような場合の負担増が生じないようにするために措置されたのが、後者の「所得金額調整控除(年金等)」である。

 厳密には、年末調整における各申告書の合計所得金額の計算をする際に、該当する方は「所得金額調整控除(年金等)」を適用して計算する必要がある。

● 「所得金額調整控除(年金等)」とは?

 もともと2つの所得金額調整控除は、確定申告において適用されるものであるが、「所得金額調整控除(子ども等)」のみ、年末調整においても適用可とされている。「所得金額調整控除(年金等)」は確定申告においてしか適用できず、控除金額は以下となる。

(1) 適用対象者

その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者

(2) 所得金額調整控除額

{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額(注)

(注) 「所得金額調整控除(子ども等)」の適用がある場合はその適用後の給与所得の金額から控除する。

2021.01.18

村田 直(むらた・ただし)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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