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No.4046 税務調査期間は「3ヵ月以内」が69%~東京会調査

● 調査内容は「帳簿・証憑」が78.0%と大半を占める

 東京税理士会は、会員が受けた税務調査について、(1)事前通知の実施状況、(2)無予告調査、(3)調査件数、調査内容及び調査日数、(4)調査結果、重加算税処分などの実態把握を目的に、令和2年度「税務調査アンケート」を実施した。

 調査結果(有効回答数378会員)によると、対象期間(令和元年・7月~2・6月)に404件の税務調査の事前通知があり、このうち「納税者のみに通知があった」件数は21件(5.2%)だった。事前通知がなかった無予告調査件数28件(6.5%)のうち「税務調査が速やかに開始されたもの」が24件(85.7%)だった。

 無予告調査は、納税者の負担が特に大きいことから、東京会では、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避け、事前通知は要しないとの判断は慎重にするよう求めている。

 回答のあった調査件数432件の内訳は、「法人税(消費税含む)」が325件と約75%を占め、「所得税(同)」が63件、「相続税(含む贈与税)」が35件、「その他国税」が9件。

 調査内容は、「帳簿・証憑」が337件(78.0%)で大半を占めているが、他の調査内容については、(1)「現金・預金」(36.6%)、(2) 「机・書庫・金庫」(8.6%)、(3)「パソコン等」(7.9%)などの順に多くなっている。

● 「申告是認」は22.1%、「修正申告」は76.9%

 税務調査のうち、着手から終了までの期間は、432件中、「3ヵ月以内」で終了したものが296件で68.5%を占めて最も多く、「3ヵ月超~5ヵ月以内」が90件で20.8%、「6ヵ月以上」が38件で8.8%となっている。また、調査終了時、申告内容に誤りが認められなかった214件の場合、「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」が「あった」のは124件と約58%を占めた。

 一方、申告内容に誤りが認められた233件の場合、「更正決定等をすべきと認めたその理由の説明」が「あった」のは199件と約85%を占めた。

 なお、調査件数432件のうち、「申告是認」は91件(22.1%)、「修正申告」は316件(76.9%)、「更正」は4件(1.0%)。「修正申告」のうち、6件が「不満だった」。「更正」のうち、不服申立てをしたものはない。また、修正申告・更正251件のうち、「重加算税処分あり」は51件(20.3%)だった。

2021.01.12

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php