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No.4021 新型コロナの損失と災害損失欠損金の繰戻し還付

● 災害損失欠損金の繰戻しによる法人税の還付

 青色申告書を提出する法人について、その確定申告書を提出する事業年度に生じた欠損金額がある場合に、その法人の請求によりその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けることができる「青色欠損金の繰戻し還付制度」がある。

 こちらは、これまで中小企業者等(資本金の額が1億円以下の法人など)のみが利用可能だったが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度において生じた欠損金額については、資本金の額が1億円超 10 億円以下の一定の法人にも拡大されている。

 これとは別に、「災害損失欠損金の繰戻し還付制度」がある。こちらは、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度または災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額を、その災害欠損事業年度開始の日前1年(青色申告書を提出する法人である場合には、前2年)以内に開始した事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けることができる制度である。青色・白色の区分も資本金の大小による制限もなく、全法人が適用可能である。


出典:財務省「欠損金の繰戻しによる還付の特例」

 実務上、2期以上ある還付所得事業年度のいずれに繰戻しをするかは任意であり、法人が適用要件等の範囲内で有利に選択することができる。

● 災害損失欠損金の範囲について

 国税庁から「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」が公表されているが、そこで「法人税の災害損失欠損金の範囲について」が述べられている。

 新型コロナウイルス感染症に関連して、学校の臨時休業や外出自粛の要請等が行われたことにより、棚卸資産や固定資産などに損失が生じている場合や、感染症の拡大や発生を防止するための消毒等の費用を支出している場合、これらの損失や費用の額は、「災害により生じた損失の額」に該当する。

【災害損失欠損金に該当する例】

  • 飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
  • 感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
  • 施設や備品などを消毒するために支出した費用
  • 感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
  • イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

※ 繰戻し還付の対象となる災害損失とは、棚卸資産や固定資産に生じた被害(損失)に加え、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用が該当する。


【災害損失欠損金に該当しない例】

  • 客足が減少したことによる売上げ減少額
  • 休業期間中に支払う人件費
  • イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

※ 棚卸資産や固定資産の被害の拡大・発生を防止するために直接要した費用とは言えないものについては、災害損失欠損金に該当しない。

2020.11.16

今村 京子(いまむら・きょうこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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