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No.3967 テレワークを理由とした給料の引き下げ、約3割が経験

● 賃金等の労働条件変更はモチベーションに影響あり

 新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークを導入する職場が急増している。それに伴って様々なアンケート調査が行われることでテレワークにおける課題などが浮かび上がってきている。働き方が大きく変化する中、働く人々の意識や労働環境の実態の把握はきわめて重要である。

 そんな中、日本労働組合総連合会(略称:連合)が行った「テレワークに関する調査」が発表になった。これは今年4月以降にテレワークを行った全国の18歳~65歳の男女(会社員・公務員・団体職員・パート・アルバイト)1,000名を対象としたインターネットによる調査だ。

 調査結果によると、「テレワーク勤務になったことを理由として給料が引き下げられたことがあるか」という質問に対して経験ありと答えた人が29%(よくあった、ときどきあった、まれにあったの合計)も占めた。テレワークだけを理由として給料を下げるというのは問題がある可能性もあり、従業員の生活にとって大きな影響があるだけに安易に実施するのは危険である。

 従業員のモチベーションに大きく関係する賃金等の労働条件については、対応を間違えると生産性にも大きく関係してくることがあるので、経営陣も勤務環境も含めた労働条件についてはあらためて考えてもらいたい。

● 電気代はじめ会社からの費用補助がないケースが多い

 「テレワークの際に使用している機器」に関する質問(複数回答)で最も多かった回答は「会社支給のパソコン・タブレット」で57.6%だった。以下、「私物のパソコン・タブレット」34.2%、「会社支給の携帯電話・スマートフォン」29.5%、「私物の携帯電話・スマートフォン」20.6%と続く。私物の機器を使っている人が半数以上もいるが、セキュリティの面から考えれば会社が支給するのが理想だ。従業員が私物の機器を使うような場合は、テレワーク規程を作成していくうえで必ず重要なポイントになるところであり、企業によって大きな差がつくところでもあるので、このような調査結果を参考にしてみるのもよいだろう。

 「テレワークで発生する費用について、勤め先からの補助はあるか」という質問については、「補助はない(自己負担)」の回答が多かったものを挙げると、「(自宅の)電気代」74.4%、「無線LAN(Wi-Fi)や携帯電話の回線使用料や通信費用」66.3%、「文房具・宅配等事務費用」59.4%、「私物の機材を利用している場合の機材の設置・更新に係る費用」59.2%、「テレワークする場所の使用料金や機器レンタル料金」57.1%の順であった。いずれの費用についても、補助がなく全額自己負担になっているというケースが多数派となっている。

 もちろん、在宅勤務手当として光熱費と通信費の一部補助として毎月定額で支給する会社もあり、会社の考え方、在宅勤務の日数、他の手当などとのバランスを考えながら柔軟に対応していくことが必要である。費用負担については、従業員それぞれの環境が違っており、価値観も大きく違うので要望があがってきたとしてもすぐに個別対応するのは難しいところでもあるが、しっかりとヒアリングをすることで課題解決に努めてもらいたいところである。

参照: 連合「テレワークに関する調査2020」

2020.07.27

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/