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No.3952 もう銀行へ行かなくても大丈夫! これからは通帳レス?

 銀行の通帳レスの動きが加速しています。銀行のコスト削減の一つとして始まった通帳レスの流れですが、コロナ禍で始まろうとしている“新しい生活様式”にも対応するものとして普及していくかもしれません。

● 通帳コストの削減が大きな目的に

 紙の通帳に代えて、パソコンやスマートフォンを通じた取引に移行を促すための、銀行の施策が今年の春先にかけて相次ぎました。いわゆる“デジタル通帳”への切り替えで、現金1,000円、ネットショップのギフト券、共通ポイントなどがもらえるキャンペーンです。

 銀行がこのような特典をつけてまで、通帳レスへの移行を推し進める一番の目的は、通帳コストの削減にあります。通帳は、1冊あたり200円の印紙税がかかるため、仮に3,000万の口座を持つ銀行であれば、年間60億円の税金がかかる計算ですから、デジタル通帳への切り替えによる税負担軽減効果は小さくありません。

 そもそも、銀行口座の通帳や印鑑を使用するのは日本独特の習慣ともいえます。海外では通帳そのものがないことがほとんどで、取引内容は定期的に送付される取引明細やインターネット上の明細で確認するといいます。

● デジタル通帳のメリットは?

 デジタル通帳では、入出金などの取引明細の確認は、パソコンやスマートフォンで行い、明細を閲覧できる期間は、銀行によっては過去10年分や30年分といった長期間になることもあります。その他、次のようなメリットも考えられるでしょう(銀行によってサービス内容は異なります)。

  • 通帳の紛失リスクが避けられる
  • ATMに行かなくても振込や残高照会が可能に
  • 振込手数料や時間外手数料が無料になったり、お得になる
  • 紙の通帳が不要になるので環境にも優しい

 一方で、インターネットを利用する取引きになるため、「資産の全容を一覧するのがむずかしくなる」「パスワードの管理は重要になる」「取引確認期間が過ぎてしまうと、明細が見られなくなるので、データの定期的なダウンロードの必要性」などは注意点です。

 キャッシュレス決済の普及で、給料日にATMで現金を引き出すついでに記帳する習慣は薄れつつあります。新型コロナウィルス感染の収束が見通せない中、通帳レスは、接触機会を減らすという新しい生活様式の流れにもマッチするものといえるでしょう。

2020.07.01

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/