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No.3945 消費税の課税選択の変更が柔軟に(新型コロナウイルス感染症特例)

● 消費税の課税事業者を選択する(やめる)届出等の特例

 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている事業者で、著しく売上が減少した等一定の要件を満たすものの救済措置として、4月30日付で消費税の届け出等に関する特例が施行された。

 特例の対象となる事業者(特例対象事業者)は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで、特定課税期間(新型コロナウイルス感染症等の影響により事業収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間)以後の課税期間について、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又は選択をやめる)ことができる。

 例えば、新型コロナウイルス感染症等の影響により事業収入が著しく減少した消費税の免税事業者である事業者が、急遽、テレワーク用PCの購入、感染予防対策として内装工事等の設備投資を行う場合、原則、設備投資をする課税期間開始後は「消費税課税事業者選択届出書」を選択することはできない。しかし、この特例を適用できれば、その課税期間開始後も届出書を提出して、消費税の還付を受けることが可能となる。

 特例の適用をうけるための要件と承認申請手続きは以下のとおりである。

【適用を受けるための要件】

  1. 特例に係る法律の施行日(令和 2 年 4 月 30 日)以後に申告期限が到来する課税期間において、
  2. 新型コロナウイルス感染症の影響により、 令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までの期間の内、 一定期間(1ヶ月以上の任意の連続した期間)の収入が、 著しく減少(前年同期比概ね 50%以上)した場合で、かつ、
  3. 当該課税期間の申告期限までに申請書を提出した場合

(注)2の収入には、事業者の売上その他の経常的な収入の額を含めるが、各種給付金など臨時的な収入は含めない
また、新型コロナウイルス感染症等の影響により、事業者が収入すべき金額を猶予又は減免した場合には、その猶予額又は減免額についても含めない


【承認申請手続】

  • 提出書類
    • 「新型コロナ税特法第 10 条第1項(第3項)の規定に基づく 課税事業者選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」
    • 「新型コロナウイルス感染症等の影響により事業としての収入の著しい減少があったことを確認できる書類(損益計算書、月次試算表、売上帳、現金出納帳、通帳の写しなど)」
    • 「消費税課税事業者選択(不適用)届出書」
  • 申請期限(原則)
    • 課税事業者を選択する場合・・・特定課税期間の末日の翌日から2月以内
    • 課税事業者の選択をやめる場合・・・特定課税期間の確定申告書の提出期限

    (注) 申告期限の延長を受けている場合には、その延長された期限となる

● 課税事業者を選択する場合、課税事業者を2年間継続する必要なし

 原則、届け出により課税事業者を選択した事業者は、課税事業者を2年間継続しなければ、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出して免税事業者に戻ることができない。

 しかしながら、本特例を適用して課税事業者となった事業者は、課税事業者を2年間継続する必要がない。1年間だけ課税事業者を選択することが可能である。この場合には、課税事業者の選択をやめようとする課税期間の末日までに、特例承認申請書、確認書類、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出する必要があるので留意されたい。

 次の場合についても本特例により、納税義務の免除の制限が解除される。

  1. 新設法人等が基準期間のない各課税期間中に調整対象固定資産を取得した場合
  2. 高額特定資産の仕入れ等を行った場合
  3. 高額特定資産等について棚卸資産の調整措置の適用を受けることとなった場合

● 簡易課税制度の適用に関する特例

 消費税の簡易課税制度の適用に関しては、現行法において「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が設けられている。

 例えば、新型コロナウイルス感染症等の影響により事務処理能力が低下したため簡易課税へ変更したい、または感染予防対策のために緊急な課税仕入れが生じたため一般課税へ変更したい、などの事情がある場合には、納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより、課税期間開始後であっても、簡易課税制度を選択する(又は選択をやめる)ことができる。

参考:国税庁「消費税の課税選択の変更に係る特例について(詳細版)」

2020.06.22

木下 洋子(きのした ひろこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
趣味はピアノを弾くこと。

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