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No.3942 新型コロナウィルスの影響による労働保険料・社会保険料の特例

 新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、令和2年度の労働保険料等の申告・納付および社会保険料等の納付について、特例措置が実施されることとなりました。今回はその概要についてお知らせいたします。

<労働保険料の申告・納付期限の延長>

 新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、労働保険料の申告期限・納付期限(年度更新期間)が、令和2年8月31日まで延長されることとなりました(本来の期限は7月10日)。

 なお、延納(分割納付)をしている場合の、第2期以降の納期限については従来通りとなります。

<労働保険料等の納付猶予>

 新型コロナウィルス感染症の影響により、事業に係る収入に相当の減少があった事業主の方は、申請により、労働保険料等の納付を1年間猶予することができることとなりました。対象となる労働保険料等は令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納付期限の到来する労働保険料等です。この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。猶予の要件、申請方法は下記のとおりです。

☆猶予の要件(次のいずれも満たす事業主の方が対象)☆

  1. 新型コロナウィルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1カ月以上)において、事業に係る収入が前年同期と比べて概ね20%以上減少していること
  2. 1により、一時的に納付を行うことが困難であること
  3. 申請書が提出されていること

☆申請方法☆

  • 納期限が令和2年2月1日から令和2年6月30日までの間の労働保険料は、令和2年6月30日までに、前期・第1期分については令和2年8月31日までに申請する。
  • 所轄の都道府県労働局に『労働保険料等納付の猶予申請書(特例)』および根拠となる書類を提出(書類の提出が難しい場合は、職員が聞き取りによる確認を行う)。国税、地方または厚生年金保険料等の納付猶予の特例が許可された場合は、その写しを添付することで書類の一部が省略可。

<厚生年金保険料等の納付猶予>

 新型コロナウィルス感染症の影響により、事業に係る収入に相当の減少があった事業主の方は、申請により、厚生年金保険料等の納付を1年間猶予することができることとなりました。対象となる厚生年金保険料等は令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納付期限の到来する厚生年金保険料等です。この期間のうち、すでに納期限が過ぎている厚生年金年金険料等についても、遡ってこの特例を利用できます。この納付猶予の特例が適用されると、担保の提供は不要となり、延滞金もかかりません。対象となる事業所、申請方法は下記のとおりです。

☆対象となる事業所(次のいずれも満たす事業主の方が対象)☆

  1. 新型コロナウィルスの影響により、令和2年2月以降の任意の期間(1カ月以上)において、事業に係る収入が前年同期と比べて概ね20%以上減少していること。
  2. 厚生年金保険料等を、一時的に納付することが困難であること。

☆申請方法☆

  • 指定期限までに申請する。指定期限は、毎月の納期限からおおよそ25日
  • 管轄の年金事務所に『納付の猶予(特例)申請書』および根拠となる書類を提出(書類の提出が難しい場合は、職員が聞き取りによる確認を行う)。国税、地方または労働保険料等の納付猶予の特例が許可された場合は、その写しを添付することで書類の一部が省略可。

【参照】
厚生労働省『労働保険の年度更新期間の延長等について』
厚生労働省『厚生年金保険料等の猶予制度について』

2020.06.15

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。