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No.3941 新型コロナウイルスの影響により役員給与を減額する場合

● 業績悪化改定事由とは?

 2020年5月15日に国税庁は「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(よくある質問)」を更新した。そのなかに、新型コロナウイルスの影響により役員給与を減額した場合の取扱いが示されている。

 まず、原則として法人税の取扱いでは、年度の途中で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められない。しかし、次の「業績悪化改定事由」によるものである場合、改定前に定額で支給していた役員給与と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入することができる。

【業績悪化改定事由(法人税基本通達9-2-13)】

「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。

● 業績が悪化した場合に行う役員給与の減額について

 例えば、イベント会社が新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点で、イベント中止要請があったことから、今後、数か月間先まで開催予定をしていたイベントが全てキャンセルとなったとする。その結果、収入が無くなり、毎月の家賃や給与等の支払いも困難な状況であることから、役員給与の減額を行うこととした。

 このように業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況は、「業績悪化改定事由」に該当する。

● 業績悪化が見込まれるために行う役員給与の減額について

 例えば、観光地での土産物販売会社が新型コロナウイルスの影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要売上先である観光客等が減少し、当面の間、回復する見通しも立たないとする。一方で、従業員の雇用や給与を維持するため、経営判断として役員給与の減額を行うこととした。

 このように現状では売上などの数値的指標が著しく悪化していないとしても、役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避な状況は「業績悪化改定事由」に該当する。

 税務調査に備えて、役員給与を減額しなければならない根拠資料及び議事録を作成するなど、客観的な資料の保管も必要である。

2020.06.15

今村 京子(いまむら・きょうこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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