No.3933 新型コロナ感染症経済対策における税制上の措置
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置が令和2年4月20日に閣議決定されたが、今回はその一部の税制上の措置を紹介したい。
● 納税の猶予制度の特例
新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年2月1日以後における一定の期間(1月以上の任意の期間)において納税者の事業等に係る収入に相当の減少(前年同期比概ね20%以上の減少)があった場合には、税務署長は、納税者から納期限までにされた申請に基づき、1年以内の期間に限り、納税を猶予することが出来る特例措置を講ずる。無担保かつ延滞税はなし。地方税についても同様。
令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税・地方税に適用される。
● 欠損金の繰戻し還付の特例
資本金の額が1億円を超える法人については、青色欠損金の繰戻し還付制度を適用できないこととされているが、今回の特例においては資本金1億円超10億円以下の法人も青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能となった。
● テレワーク等のための中小企業の設備投資税制
中小企業者等がテレワーク等のための設備の取得等をした場合に、中小企業経営強化税制の適用を受けることができるようになった。対象要件は遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にすること。対象設備は経済産業大臣の認定を受けた投資計画に記載された機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェアである。設備の即時償却又は設備投資額の7%(資本金が3,000万円以下の法人は10%)の税額控除をすることができる。
● 償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置
中小企業者等が所有する償却資産及び事業の用に供する家屋に係る固定資産税及び都市計画税について、令和3年度分に限り、令和2年2月から令和2年10月までの任意の連続する3月間における中小企業者等の売上高(すべての事業の売上高の総額)が下記のように減少した場合に軽減措置を講じる。
前年同期間の売上高との比較 | 減免率 |
30%以上50%未満減少 | 2分の1 |
50%以上減少 | 全額 |
● 法人税、法人の消費税、源泉所得税の期限延長
申告所得税等のみでなく、法人税や法人の消費税、源泉所得税についても、個別に申請することで、申告・納付期限の延長が受けられる。期限延長を受けるにあたり、別途申請書等を提出する必要はない。
各種会計ソフトを利用してe-Taxで法人税、法人の消費税を提出する場合には、電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書の「電子申告及び申請・届出名」欄に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と入力する。源泉所得税を提出する場合には、所得税徴収高計算書の「摘要」欄に「新型コロナウイルスによる納付期限延長申請」と入力する。
2020.06.01
岩成 直哉(いわなり・なおや)
マネーコンシェルジュ税理士法人
島根県出身。一般企業で経理を経験し、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。補助金担当として、申請支援にも力を入れている。
趣味はゴルフ。
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