お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.3927 新型コロナ対策として特別休暇制度の整備で助成金

● 新型コロナウイルスの影響を受ける事業主が対象に

 新型コロナウイルス感染症により影響を受ける事業主を支援するため雇用調整助成金の特例措置が今注目を集めています。この特例措置は、緊急事態宣言を受けて休業する事業主に、従業員の雇用維持に努めてもらうための助成金です。

 世論や専門家の意見も吸い上げ、少しずつ適用要件のハードルを下げてはいるものの使い勝手の良いものではなく、「特例措置のさらなる拡充」について5月上旬頃を目途に発表される見込みです。

 この雇用調整助成金は「休業」がポイントになりますが、今回は働き方改革推進支援助成金のうちの1つで、新型コロナウイルス感染症対策として「休暇」の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に支給する「職場意識改善特例コース」を紹介いたします。

 同制度は、休業ではなく、特別休暇制度を新たに整備し、特別休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を対象にした助成金です。申請期限は5月29日(金)までと短いのですが、申請時に提出する書類も少なく、比較的簡素なので、ご検討いただくのも良いかと思います。

 なお、働き方改革推進支援助成金は、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的とした制度で、生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体に対して助成を行っています。新型コロナウイルス感染症対策としては他にもテレワークコースがあります。

● 職場意識改善特例コースの概要は

 支給対象となる事業主は、新型コロナウイルス感染症対策として、病気休暇制度や、子どもの休校・休園に関する特別休暇の規定を新たに整備する中小企業事業主です。

 支給対象となる取組は、特別休暇制度の導入・取得促進に向けた環境整備を目的として、例えば以下のいずれか1つ以上を5月31日までに実施することとなっています。

  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 就業規則・労使協定などの作成・変更
    (例:特別休暇を導入するために必要な就業規則・労使協定などの作成・変更、届出)
  • 労務管理用機器の導入・更新(例:タイムレコーダー、ICカード)
  • 労働能率の増進に役立つ設備・機器などの導入・更新
    (例:小売業のPOS装置、運送業の自動洗車機、自動車修理業の自動車リフト)

 など

 支給額は、以下のどちらか低いほうの額となります。

 (1) 対象となる経費の合計額※1×補助率※2

 ※1 謝金、会議費、機械装置の購入費など

 ※2 補助率は3/4、一定の要件を満たせば補助率は4/5

 (2) 1企業当たりの上限額は50万円

※ 本稿の内容は5月1日執筆時点のものです。最新の情報は厚生労働省のホームページでご確認ください。

参照: 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)」

2020.05.18

半田 美波(はんだ・みなみ)

社会保険労務士
みなみ社会保険労務士事務所 代表、株式会社サンメディックス 代表取締役
診療所で医療事務職として勤務した後、医療法人事務長、分院の設立業務担当を経て、2003年に医療機関のサポート会社・(株)サンメディックス設立。2004年にみなみ社会保険労務士事務所を設立。医療機関に詳しい社労士として知られる。