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No.3897 農業者の皆さんもご注意を!軽減税率制度実施後の経理

 2019年10月1日より消費税の軽減税率制度が実施されている。主として飲食料品の生産、販売を行う農業者は、特に複数税率(標準税率10%、軽減税率8%、旧税率8%)への区分経理対応が求められる。

 例えば、農業者の売上の大半を占める米、野菜、果物などの飲食料品販売は軽減税率8%の対象となるが、飼料など人の飲用または食用に供されないものの売上、イチゴ狩りの料金、販売所内のスペースでの食事提供などは標準税率10%が課される。

 一方仕入れについては、肥料、苗木、農機具の購入など標準税率10%の適用を受ける取引が大半となると考えられる。

● 委託販売の計算方法の変更により免税事業者から課税事業者となる可能性も

 軽減税率制度の実施により、農協等を通じて委託販売を行う場合の課税売上げの計算方法が変更となる。

 軽減税率制度実施後は、農業者の農協等への飲食料品販売には軽減税率8%が適用される一方、農協等に支払う委託販売手数料には10%が適用される。

 2019年9月30日以前までは消費税率は一律8%であったため、農協等を通じて委託販売を行う際には、農協等の販売手数料を控除した後の額を課税売上とすることが認められていた。しかし軽減税率制度適用後は、実際の販売額(販売手数料を控除する前の額)を課税売上(軽減税率8%)とし、販売手数料を課税仕入れ(10%)としてそれぞれ集計する必要がある。

 実際の販売額を売上高として集計することにより、今まで売上から差し引いていた委託販売手数料分の売上高が増加することになる。このことにより、基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が1,000万円を超え、事業者免税点制度が適用できなくなり消費税の課税事業者となる可能性があるので留意されたい。

● 簡易課税制度の見直し

 軽減税率制度の導入に伴い、2019年10月1日以後の取引につき、簡易課税制度における食用の農林水産物の販売に係る事業のみなし仕入率が70%から80%に引き上げられた。

 本来は、農業、林業、漁業に係る売上は第3種事業としてみなし仕入率70%が適用される。しかし上記業種においては、売上の大半が軽減税率8%の対象で、仕入れ(農機具、肥料、農業用ハウス等)の大半が標準税率10%の対象であるため、簡易課税制度を適用すると実態よりも消費税の仕入控除税額が少なくなってしまう。その影響を考慮して、軽減税率が適用される飲食料品の譲渡については第2種事業のみなし仕入率80%が適用されることになった。

 なお、2019年9月30日以前の飲食料品の売上については、第3種事業の70%のみなし仕入れ率が適用されるので、注意が必要である。

参照:農林水産省「消費税の軽減税率制度について」

2020.03.23

木下 洋子(きのした ひろこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
趣味はピアノを弾くこと。

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