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No.3894 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者への支援

 新型コロナウイルスの感染拡大で、中小企業・小規模事業者・個人事業主の経営に影響が出ています。

 政府は緊急対策として、日本政策金融公庫などに5,000億円の緊急貸付・保証枠を設けて資金繰りを支援し、また、「中小企業生産性革命推進事業」に係る補助金も使い、サプライチェーン(供給網)の毀損に対応するとしています。

● 資金繰り支援

  1. セーフティネット保証制度
    • セーフティネット4号(突発的災害(自然災害等)):通常とは別枠で借入債務の100%を保証
    • セーフティネット5号(業況の悪化している業種(全国的)):特に重大な影響が生じている業種について、通常とは別枠で借入債務の80%を保証
  2. セーフティネット貸付の要件緩和
    • 外的要因により、一時的に売上が減少した事業者等を対象とする貸付制度であるが、資金繰り支援の必要がある場合、売上高の減少等の程度に関わらず融資
  3. 衛生環境激変特別貸付
    • 一時的な業況悪化から資金繰りに支障をきたしている旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業の経営を安定させるために必要な運転資金を融資(融資限度額:別枠1,000万円、旅館業は別枠3,000万円)
  4. 金融機関等への配慮要請
    • 事業者からの返済緩和要望等への柔軟な対応を要請

● サプライチェーン毀損等への対応

 中小企業生産性革命推進事業を活用し、サプライチェーン(供給網)の毀損等に対応するための設備投資や販路開拓に取り組む事業者を優先的に支援

  • ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金):国内生産強化等の設備投資を支援(補助額上限:1,000万円、補助率:中小1/2、小規模2/3)
  • 小規模事業者持続的発展支援事業(持続化補助金):小規模事業者の販路開拓を支援(補助額上限:50万円、補助率:2/3)
  • サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金):IT導入による効率化を支援(補助額:30万円~450万円、補助率:1/2)

● 経営環境の整備

  1. 新型コロナウイルスに関する経営相談窓口
     日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構及び各地方経済産業局等に相談窓口を設置し、経営上の相談に対応
  2. 産業界への下請配慮要請
     中国国内の生産活動の停滞や機械部品等の輸入の遅延等により影響を受ける事業者については、経営基盤の弱い下請等中小企業に対する影響を最小限とするため、不当な取引条件(通常支払われる対価より低い対価による下請代金の設定、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や部品の調達業務の委託など)の押しつけがないよう、親事業者の必要な配慮等について要請
  3. 雇用調整助成金の特例
     日本・中国間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、中国(人)関係の売上高や客数、件数が全売上高等の一定割合(10%)以上である事業主について、支給要件を緩和(助成内容:休業を実施した場合の手当等について中小企業は2/3、大企業は1/2を助成)

 なお、各自治体においても、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が協調し、中小企業向けに行う中小企業融資制度において、新型コロナウイルス対応の緊急対策資金等を創設し、資金繰りを支援しています。

 また、法人向け生命保険(事業保険)に加入していれば、解約返戻金の一定範囲内で契約者貸付を受けることができます。生命保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

※ この記事は、2020年2月19日現在の情報等に基づいています。

2020.03.16
(セールス手帖社 高田 康正)