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No.3893 中小法人の赤字には「欠損金の繰越控除か繰戻還付」

 青色申告書を提出する中小法人は、赤字が出た場合に「欠損金の繰越控除」か「欠損金の繰戻還付」を適用し、法人税の負担を軽減できる。

● 「欠損金の繰越控除」とは?

 「欠損金の繰越控除」とは、青色申告書を提出した事業年度において欠損金(税務上の赤字)が生じた場合には、その事業年度の後の事業年度以降に繰り越して、後の事業年度の所得から欠損金を控除することで、法人税の負担を軽減できる制度である。中小法人では、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額の100%を、各事業年度の所得の金額の計算上、損金算入できる。

● 「欠損金の繰戻還付」とは?

 一方の「欠損金の繰戻還付」とは、青色申告書を提出する事業年度に欠損金が生じた場合、先述の翌事業年度以降に欠損金を繰り越すのではなく、欠損金が生じた事業年度開始の日の前1年以内に開始した事業年度の所得金額に繰戻し、既に納めた法人税から欠損金の分だけ還付を受けることができる制度である。ただし、現在のところ当該制度を適用できるのは中小法人に限定されている。

 中小法人が欠損金の繰戻還付の適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要がある。

  1. 欠損金が生じた事業年度、その事業年度の前1年以内に開始した事業年度とともに青色申告書で確定申告していること
  2. 欠損金が生じた事業年度の青色申告書を提出期限内に提出していること
  3. 欠損金の繰戻しによる「還付請求書」を欠損金が生じた事業年度の確定申告書に添付して提出していること

 なお、還付請求できる法人税の額は下記の算式により求める。

前期の法人税額×当期の欠損金額(※)/前期の所得金額=還付請求できる法人税の額
(※)前期の所得金額が限度

 具体的には、前期所得が1,000万円・法人税150万円を納付した中小法人で当期の所得が△1,000万円の場合、前期に納付した法人税全額となる150万円×1,000万円/1,000万円=150万円の還付を受けることができる。ただし、残念ながら地方税に関しては、還付制度はなく翌事業年度以降に繰越控除となる。

 前期黒字、当期赤字の中小法人は、適用忘れのないように注意していただきたい。

2020.03.16

今村 京子(いまむら・きょうこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
三重県出身。金融機関・会計事務所勤務を経て現法人へ。
平成15年6月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。
年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
プライベートでは、夫は税理士の今村 仁で2女の母。趣味は歌舞伎鑑賞。

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