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No.3889 民泊の確定申告、間違ってしまった場合には?

● 民泊による所得は原則、雑所得

 自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業、いわゆる民泊を行うことによる所得がある場合、確定申告における所得区分は、原則として雑所得に区分される。

 所得税法上、「不動産の貸付けによる所得」は、原則として不動産所得に区分されるため、違和感を覚える方もおられるかもしれないが、住宅宿泊事業は、宿泊者の安全等の確保や一定程度の宿泊サービスの提供が宿泊施設の提供者に義務付けられており、利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、寝具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費、日用品費、観光案内等の役務提供の対価などが含まれていると考えられ、これらの点において、一般的な不動産賃貸とは異なる。

 また、住宅宿泊事業に利用できる家屋は、下記に限定されており、その宿泊日数も制限されている。

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者等の居住の用に供されている家屋

 以上のような住宅宿泊事業の性質や事業規模・期間などを踏まえ、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されている。

● 雑所得以外に該当する場合

 ただし、不動産賃貸業を営んでいる方が、契約期間の満了等による不動産の貸付け終了後、次の賃貸契約が締結されるまでの間、当該不動産を利用して一時的に住宅宿泊事業を行った場合に得る所得は、雑所得とせず、不動産所得に含めても問題ない。

 また、専ら住宅宿泊事業による所得により生計を立てているなど、その住宅宿泊事業が、所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合には、その所得は事業所得に該当する。

● 民泊に関する経費

 民泊による所得がある場合、以下のようなものが経費計上できる。

  • 住宅宿泊仲介業者に支払う仲介手数料
  • 住宅宿泊管理業者等に支払う管理費用や広告宣伝費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 非常用照明器具の購入及び設置費用
  • 宿泊者用の日用品等購入費
  • 住宅宿泊事業に利用している家屋の減価償却費
  • 固定資産税
  • 住宅宿泊事業用資金の借入金利子 など

 水道光熱費や固定資産税など、業務用部分と生活用部分の費用の両方が含まれているものについては、業務用部分の金額のみ必要経費に算入することができる。業務用部分の金額については、合理的な方法により区分して計算することになるが、例えば、主に住宅宿泊事業に利用している部分の床面積の総床面積に占める割合を基にするなどして計算することが考えられる。

● もし、間違えて申告してしまった場合には…

 民泊に関する確定申告については、注意点が多く、間違えて申告してしまったというケースも多いのではないだろうか。その場合は、再度修正申告を行う必要がある。特に、所得区分を間違えてしまった場合は、根本的に申告内容が異なり、来年以降の申告にも影響する場合があるため、十分確認しておきたい。すでに申告を済ませた方も、今一度確認しておいてほしい。

2020.03.09

村田 直(むらた・ただし)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

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