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No.3877 若手社員の約半数が転職サイトに登録済

● 変わりゆく若手社員の意識を理解する

 一般社団法人日本能率協会は、全国の入社半年・2年目を迎えた若手社員400人を対象に、職場や仕事内容に対する考え、現状への満足度を探ることを目的に意識調査を行い、その調査結果を発表した。

 それによると、若手社員の約半数が転職を検討・活動中で、転職サイトに登録済であることが明らかになった。さらに、定年まで勤めるつもりの社員であっても6割が転職サイトに登録している。

 この傾向には少しだけ違和感があるが、働き方改革の影響もあって若手社員の意識や感覚も時代とともに少しずつ変化してきているので、このようなデータを参考にしながら自社のマネジメント、また今後の新卒採用のためにも活用していきたいところである。

● 副業・兼業している 28%

 「副業・兼業についてどのように思うか」を尋ねたところ、全体では、28.0%が「すでに副業・兼業をしている」と回答。「興味はあるが、現在副業や兼業はしていない」も54.3%にのぼり、関心は高いようだ。

 転職に対する意向と、副業・兼業への考えの関係を見たところ、「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもり」である若手社員の50.6%が「副業・兼業をしている」と答え、その他の転職意向をもったグループと比べ、高い比率となっているのが特徴的である。この傾向は意外に思われる方もいるかもしれないが、安定して長期勤続する本業があるからこそ、多方面に関心をもちさらに収入をあげたいと思っているのではないかと思われる。

 実際に調査結果でも副業・兼業の目的は、「収入を上げるため」が多数で、次いで「複数の収入源を持っていたいから」と続いている。

● 会社は若手定着のためにどうする

 入社当時と比べて、仕事を行う上での「能力・スキルがどう変わったか」を尋ねたところ、「上がった」「少し上がった」の合計が65.0%、「下がった」「少し下がった」の合計が11.3%となった。

 当然ながら「能力・スキルアップできている」と感じている社員の方が、仕事への満足度が高く、定年まで勤めるつもりの割合が高いので若い時から従業員がこの点を重視していることを理解して対応する必要がある。

 まさに、ここは若手定着のカギになるところで、せっかく新卒採用をしても3年以内に半数以上が退職してしまうような悩みを抱えているような会社は採用することと同様に、定着させるためにどうすればいいのかを多方面から考えて対策していきたい。

 また、「目標にしたい人の有無」と「能力・スキルの変化」、「会社のビジョン・戦略と自分の仕事のつながり」との関係を見ると、目標にしたい人が「いる」方が、能力・スキルが「上がった」、つながりを「感じる」とする比率が高いという結果となった。

 そしてレポートでは、職場に「目標としたい人がいるか」が、「能力・スキルアップ」や「会社のビジョン・戦略とのつながり感」、ひいては、仕事や会社組織への満足、会社への定着に結びついていることが確認できたとまとめている。

 中小企業であっても、会社のビジョン、職場の良好な雰囲気、能力を高めることができる環境、目標としたい先輩社員がいることなどは特に強く意識して対応することで少しでも若手社員の転職を予防したいところである。

参照: 一般社団法人日本能率協会「2019年度 入社半年・2年目 若手社員意識調査結果」

2020.02.10

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/