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No.3852 外貨建て保険販売に関する各社の取組みについて 
~生命保険協会 第1回Value Upアンケート(外貨建て保険版)より

 生命保険協会では、毎年1回生命保険協会が策定した自主ガイドラインに沿って各社の取組状況を確認すること、業界外部からの声も踏まえた各社の取組事例を収集することを目的に、Value Upアンケートを実施している。

 さらに、外貨建て保険に関する苦情件数が増加傾向にあることなどから、令和元年より「Value Upアンケート(外貨建て保険版)」が新設された。生命保険協会からは、業界の取組事例と外部からの声が公表されている。

 令和元年に公表された各社の取組事例は、以下の4項目である。

  • 適正な勧誘
  • 親族が同席できなかった場合の取扱い
  • 説明資料の充実
  • 保険代理店教育

 これらの取組みは、法令の定める「適合性の原則」「情報提供義務」「意向把握・確認義務」に帰着するわけであるが、生命保険募集人としてこれらの重要性を再確認しておきたい。

 事例として挙げられているなかで、「お客さま向け動画(為替リスクの説明動画等)を作成」「パンフレットの参考資料に、外貨の高金利で運用しても、為替変動により運用後の円換算額で損失が発生することを実数値で視覚的に明示」は、お客さまの視覚等に訴えることにより、より理解を促そうというもので、募集時に説明を行う際も、お客さまに具体的なイメージを持っていただき、正しい理解のもとご契約いただくことが大切である。

 また、公表事例の中で、外部業者により為替リスク等の理解状況を確認し、確認できない場合は契約不成立とする取組みがある。本来は、募集人自身が理解状況を確認し、その理解の程度により、募集を行うかどうかを判断すべきものであるため、日頃の活動の中で心掛けておきたいところである。

 今回の公表事例の中には含まれていなかったが、上記に加え、お客さまの意向を的確に把握し、その後に外貨建て保険が適しているかどうかを意識することも大切である。余裕資金について通貨分散を行いたい、外貨建て年金保険で、為替リスクを認識したうえで高利回りを狙いたいなどの意向を確認し、意向のないところに販売を行うような行為は慎まなければならない。

 今回は、外貨建て保険についての問題であるが、生命保険の募集に関する苦情は、「適合性の原則」「情報提供義務」「意向把握・確認義務」をおろそかにしたところから生まれるケースが多い。この点を意識して、日頃の活動を行っていきたい。

参考: 生命保険協会 第1回Value Upアンケート結果(外貨建て保険版)

2019.12.16
(セールス手帖社 田中一司)