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No.3851 高齢運転者の事故防止は、免許返納にあり!?

 高齢の運転者による交通事故が連日のように報道されています。もちろん、以前から高齢者が起こす事故はありましたが、運転する年齢層が高くなっていることが、事故全体に占める高齢運転者による事故割合(平成30年は18.0%、警視庁交通総務課統計)が増えている一番の原因なのかもしれません。

● 自動車の性能と反射神経は反比例する

 年々、自動車の操作性能が向上しているため、高齢者でも簡単に運転できる自動車が増えています。それ自体は喜ばしいことなのですが、一方で個人差はあるものの年齢を重ねることで判断力も反射神経も低下の一途を辿ります。理解しておくべきことは、自動車の操作性能の向上と加齢による判断力・反射神経の低下は相反する関係(反比例)にあるということは忘れてはなりません。

● 任意保険(自動車保険)にもしっかりと加入する

 全ての自動車に契約が義務づけられている自賠責保険にさえ加入していない、無保険車の人が起こした事故について耳にすることがあります。にわかには信じがたいですが、自動車を運転する人のマナーとして、自賠責保険はもとより任意保険(自動車保険)にもしっかりと加入することが必要です。

 また、自動車保険でうっかりミスをしてしまいがちなのが、自動車を買い換えた時に、自動車保険で車両入れ替えを忘れてしまうことです。保険の契約途中に自動車を買い換えた時には必ず車両入れ替えをして、適切な保険に加入することが必要です。

 国土交通省をはじめ、東京都・香川県・兵庫県・福井県などの都道府県、愛知県豊田市・東京都豊島区・群馬県明和町などの市区町村では、高齢運転者が自動車に安全運転支援装置を後付けで設置したり、先進安全自動車(ASV:Advanced Safety Vehicle)を購入した場合などに、助成金や補助金を出しています(自治体等によって制度は異なります)。

 加齢により運転に不安を覚えることが予想されるなら、早めに安全を確保することが大切ですね。なお、先進安全自動車の場合、自動車保険は「ASV割引」が適用されます。

 保険の見直しにおいて、損害保険そのものが置き去りにされているケースは少なくありません。以前は生命保険と損害保険の窓口が分かれている場合もあり、手続きそのものを面倒と感じていた人も多いかと思いますが、生命保険および損害保険は同じ担当者や同じ保険代理店から見直しやアドバイスを受けることが可能である場合も増えてきました。せっかく支払った保険料が適切に保障(補償)に充てられているか確認してみてください。

● 免許を返納する

 究極の交通事故防止は、自動車を運転しないことです。家族等に客観的に判断してもらい、運転免許証を自主返納することも考えてみてください。今まで運転していたマイカーがなくなるのは不便だと感じるかもしれませんが、免許を返納すると、地域によってはタクシーの割引乗車、路線バスの無料パス進呈等が受けられます。

 東京の場合、免許返納者に対して巣鴨信用金庫や東京シティ信用金庫、西京信用金庫では定期預金の金利が上乗せされるサービスを実施しています。ほかにも、旅行会社のパッケージツアーの割引、提携しているレストランでの割引やサービスが受けられるなど、多くの優待サービスがあります。

 高齢運転者向けの情報は、ホームページ等で入手できます。高齢運転者支援サイトでは、安全運転を続けるためにはどのようにすると良いのか? 高齢者の講習内容や検査項目等を知ることができます。検査項目は確認できますので自らチェックし、判定結果が芳しくなければ返納の時期が訪れたと悟る必要があります。

 事故を起こしてしまった場合には、被害者やその家族が苦しむだけでなく、加害者となった自分の家族も苦しむことになります。「自分はまだ大丈夫」と過信することなく、少しでも運転に不安を感じたら、免許を返納することを考えてみましょう。

参考:
高齢運転者支援サイト
警視庁「運転免許自主返納サポートについて」

2019.12.16

飯田 道子(いいだ・みちこ)

海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。