No.3845 生前贈与実行時のポイント
● 暦年贈与非課税枠利用は年内に
相続税対策のため、生前贈与を計画されている方については、年内に贈与を実行する必要がある。暦年贈与であれば、毎年110万円の非課税枠があるため、それを有効に活用することで、結果的に相続税を大きく減らせる可能性がある。相続人以外の孫に対して贈与すれば、相続開始前3年以内贈与加算の適用がない上に、相続税が一代飛ばしになるため、非常に有効である。
● 贈与財産の選び方と贈与時の注意点
生前贈与する場合、贈与財産の選び方にはコツがある。ポイントは、贈与による移転コストの少ない財産を選ぶことである。
例えば、登記が必要な不動産は、生前贈与には向かない。贈与の度に、登記費用がかかる上に、不動産取得税や登録免許税といった税金がかかるからである。
その一方で、現金や貸付金といった財産は、移転コストがほとんどかからないため、生前贈与に向いている。
生前贈与する場合に、最も注意しなければならないのは、「つもり贈与」である。自分は贈与をした”つもり”でも、実際は贈与が成立していないことがよくある。
贈与は契約行為であるため、一方が勝手に贈与をしても成立しない。贈与される側が、その贈与を承諾する必要がある。
例えば、孫名義の口座に振り込んでいても、通帳や印鑑は自分が持ったまま、貯まった預金も使った形跡なし、口座があるのは、孫の住む東京ではなく、自分が住んでいる地方の支店、これでは”つもり”贈与と指摘されても、仕方ない。
● 現金贈与のポイント
現預金の贈与なら、以下のような項目がポイントとなる。
- 贈与契約書を作成する
(未成年者の場合は、親権者代理人が署名捺印する)- 贈与税を申告する
- 通帳・印鑑を相手に渡す
- 未成年者の場合は、成人したら、通帳・印鑑を渡す
- 自分(贈与者)の印鑑は使わない
- 受贈者の居住地に近い金融機関・支店を選ぶ
また、過度に生前贈与をし過ぎても、それが逆に相続争いの元になることもある。現金贈与であれば、もらった側の浪費にも気を付けなければならない。節税のことだけを考えるのではなく、バランスを取って実行することが重要である。
2019.12.09
村田 直(むらた・ただし)
マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
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