引受表の記号は、以下の意味を表します。

  • ○…引受可
  • ×…引受不可
  • △…条件付(保険料割増等)
  • 削減…削減
  • R…部位不担保

アニサキス症(アニサキスショウ)

動物の寄生虫がヒトの体内で成熟できず、幼虫のままあちこち移行して起こす病気を総称して幼虫移行症といい、アニサキス症も含まれます。アニサキスは回虫の仲間で、幼虫はイカ類やサバ、アジ、イワシなどの内臓表面や筋肉内に寄生しています。ヒトはこれらを生食して感染し、幼虫がヒトの胃壁や腸壁にもぐり込むために、激しい腹痛、吐き気・嘔吐がおこります。

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アメーバ赤痢(アメーバセキリ)

赤痢アメーバという原虫による大腸の感染症で、赤痢アメーバの嚢子に汚染された飲食物を口からとることで感染します。感染しても症状が現れるのは5~10%程度ですが、粘血便・下痢・鼓腸・排便時の下腹部痛などの赤痢症状を示します。典型的なケースではイチゴゼリー状の粘血便を排泄し、数日から数週間の間隔で増悪と寛解を繰り返します。

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胃炎(イエン)

何らかの原因によって胃の粘膜に炎症が起こり、粘膜の浮腫、発赤、びらんの形成が短時間に引き起こされた状態をいいます。食べ物や飲み物(コーヒー、緑茶)、腐ったものを摂取、薬品(鎮痛剤、ステロイド剤、抗生物質、経口糖尿病薬)、ストレスなど外からの刺激が原因の外因性急性胃炎と、風邪やインフルエンザなど急性感染症などに合併して起こる、内因性急性胃炎の2つに大別されます。

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胃潰瘍(イカイヨウ)

消化性潰瘍と呼ばれる胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、胃酸やペプシンにより、胃や十二指腸の粘膜の壁が傷つけられ、欠損(潰瘍)を生じる疾患です。消化性潰瘍の原因はピロリ菌の感染です。したがってピロリ菌の除菌治療をしないと、すぐに再発してしまうことが多いです。その他にアスピリンなどの非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が原因となる場合もあります。

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胃下垂(イカスイ)

胃の上部は正常な位置にあり、下部が延びて正常な位置よりも下に垂れさがった状態です。胃を支える筋肉や脂肪の少ないやせ型で長身の人がなりやすいと言われてます。この胃がさがった状態で、暴飲暴食・過労・不安などによるストレスが引き金となり、消化が悪くなって胃に食物が溜まりすぎてしまったために引き起こされることが多いようです。腹部の手術や出産などを繰り返した場合にも起こります。

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胃痙攣(イケイレン)

突然起こる腹部のけいれん性の痛みのことを呼び、激しい痛みが数分間~数十分間続きます。胃潰瘍、急性胃炎、胃軸捻転、胃粘膜脱、十二指腸潰瘍、胆石症、胆管炎、急性膵炎など消化器系の病気が原因になるほか、ストレス、緊張、神経症などが原因で引き起こされることがあります。

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胃軸捻転症(イジクネンテンショウ)

胃の異常な回転や捻転によって起こる比較的まれな病気で、主に新生児や乳児に発症します。回転する軸によって、臓器軸性捻転と腸間膜軸性捻転に分類され、横隔膜ヘルニア、横隔膜弛緩症、食道裂孔ヘルニア、遊走脾、無脾症などを合併しやすくなっています。

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萎縮性胃炎(イシュクセイイエン)

慢性胃炎が長く続いた結果として、胃の粘膜が萎縮した状態をいいます。胃が退色し、粘膜の下にある血管が透けて見えるようになり、大半がヘリコバクター・ピロリ菌によって引き起こされます。萎縮が進行すると、胃粘膜が大腸や小腸の粘膜に似た粘膜となり(腸上皮化生)、胃癌が発生すると言われており、慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃癌という経過をたどります。

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胃静脈瘤(イジョウミャクリュウ)

胃にできる静脈瘤で、食道の静脈瘤とほぼ同じ原因で発生します。症状は特になく、粘膜の深い部位に存在するため、食道の静脈瘤ほど破裂の危険も高くなく、治療がいらないことが多いです。ただし、破裂した場合は血流量が多く止血困難です。

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胃石(イセキ)

一部消化された物質やまったく消化されない物質が集まって固まったもので、胃その他の消化管にみられます。部分的に消化された毛髪や果物や野菜の繊維が 集まってでき、ほとんどの場合は無症状ですが、消化管の管腔を部分的または完全にふさいでしまうと、けいれん、膨満、食欲不振、嘔吐、発熱などが起こります。

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胃切除後症候群(イセツジョゴショウコウグン)

胃切除手術後の食物貯留機能障害に起因する病態をいいます。胃もたれ・吐き気・嘔吐・腹痛などの小胃症状、胃の出口である幽門が切除され、胃の内容物を十二指腸に送り出す機能が消失されるために起きるダンピング症候群などがあり、その他にも逆流性食道炎・下痢・貧血・骨の障害・胆石など様々な障害が起こります。

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胃腸神経症(イチョウシンケイショウ)

上部・下部の消化管症状を強く訴えるにもかかわらず、いかなる検査をしても器質的な異常を認めない場合に用いられてきた診断名です。神経性胃炎・神経性下 痢・慢性腸炎・腹部不定愁訴症候群などとも呼ばれます。むねやけ、腹痛、下痢、腹部膨満感などのさまざまな症状が3カ月以上にわたって繰り返し現れ、数年にわたって慢性に経過します。

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移動盲腸症(イドウモウチョウショウ)

盲腸は生理的にも多少の移動性があり、上方6センチ、内方2センチまでを生理的限界としています。移動の大きさがこれ以上で、腹痛などを起こすものを移動盲腸症といい、一般に腸間膜の延長によって起こります。便秘や右下腹部痛などの症状がみられ、盲腸の膨隆、圧痛が認められます。

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胃粘膜下腫瘍(イネンマクカシュヨウ)

胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor; SMT)には、筋原性腫瘍、迷入膵、神経性腫瘍、カルチノイド腫瘍、顆粒細胞腫、悪性リンパ腫、脂肪腫などがあります。いずれも胃内視鏡所見は、胃粘膜表面の隆起性病変として観察されます。表面は平滑なことが多くなっていますが、くぼみや潰瘍がある場合もあります。腫瘍の鑑別診断には超音波内視鏡検査(EUS)やCT検査が有用といわれています。大きさが4~5cm以上になると悪性化懸念により切除手術が行われます。消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor; GIST)も胃粘膜下腫瘍の原因の一つです。

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胃ポリープ(イポリープ)

胃の粘膜上皮に局所的に隆起した病変をいい、きのこ状の有茎性と亜茎性のものと、根もとが広い無茎性のものがあります。自覚症状はほとんどありませんが、大きくなると出血したり、食べ物の通過障害により吐き気や痛みを伴うこともあります。有茎性と亜茎性のものは良性の場合が多く、無茎性のものは悪性の場合もあります。

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疫痢(エキリ)

赤痢菌が腸に感染することが原因で起こる感染症です。小児にみられる細菌性赤痢の重症型で、循環不全(血圧の低下、意識障害など)を起こすと短期間に死亡します。熱帯や亜熱帯地域への海外旅行などで、赤痢菌が混入した物を飲食する事により感染します。

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嚥下障害(エンゲショウガイ)

嚥下は、舌の運動により食べ物を口腔から咽頭に送る口腔期、嚥下反射により食べ物を食道に送る咽頭期、食道の蠕動運動により胃まで運ぶ食道期に分けられ、これらが障害を受けるさまざまな疾患で起こります。脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、神経や筋疾患などが原因となり、食物摂取障害による栄養低下と、食べ物の気道への流入による嚥下性肺炎などの症状がでます。

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A型肝炎(エーガタカンエン)

A型肝炎ウイルスの経口感染による急性の肝臓の炎症をいいます。まれに劇症化する場合もありますが、慢性化することはありません。原因としては牡蠣の生食、東南アジアでの生水によるものが多いです。口から侵入したA型肝炎ウイルスが、消化管で吸収されて血流に乗り、肝臓へと到達します。肝臓でウイルスが増殖し胆汁中や血液中に放出され、増殖したウイルスに対する免疫が働き始めHA抗体が作られるようになると免疫機構により肝細胞が攻撃され、A型肝炎の症状が出現します。

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潰瘍性大腸炎 (カイヨウセイダイチョウエン)

大腸の主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびらん性非特異性炎症性疾患です。30歳以下の若い成人に多く、持続性または反復性の粘血便・下痢が主な症状で、寛解と再発を繰り返す慢性疾患です。このほか腹痛・食欲不振・体重減少・発熱・頻脈などの症状が加わることもあります。長期の経過をとるものでは、悪性化の傾向がみられます。

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顎関節症(ガクカンセツショウ)

「顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、関節包・靱帯障害、関節円盤障害、変形性関節症などが含まれている」と定義されています。原因は多因子的であり、精神的ストレス、局所疲労を蓄積させる生活習慣、噛み合わせの異常、外傷などがあります。症状は顎運動時の咬筋、側頭筋の痛み、顎関節の痛み・雑音・可動制限などで、多くの場合症状は複合します。

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家族性大腸ポリポージス(familial adenomatous polyposis; FAP)(カゾクセイダイチョウポリポージス)

大腸全体に米粒大~小豆大のポリープが通常、100個以上びまん性に発生します。組織は腺腫であり、放置すれば高率に癌化します。常染色体性優性遺伝により子孫に遺伝し、小腸・十二指腸、胃にもポリープが高率に合併します。血便、下痢、腹痛などの消化器症状のほかに、体表部に骨腫や軟部腫瘍(表皮嚢胞、線維腫など)が現れます。

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過敏性大腸炎(カビンセイダイチョウエン)

排便によって改善する腹部不快感や腹痛が、3ヶ月以上にわたり慢性的に起こる疾患です。便秘や下痢の便通異常がありますが、器質的疾患がないことが特徴です。

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過敏性腸症候群(カビンセイチョウショウコウグン)

排便によって改善する腹部不快感や腹痛が、3ヶ月以上にわたり慢性的に起こる症候群です。便秘や下痢の便通異常がありますが、器質的疾患がないことが特徴です。男性に多い下痢型、女性に多い便秘型、混合型に分けられます。

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肝機能障害(カンキノウショウガイ)

人間ドックで異常指摘されることが多い血液検査の一つです。脂肪肝による肝機能障害、肝炎ウイルス感染症、慢性肝炎、肝硬変などが原因となります。脂肪肝による肝機能障害であることが明らかで肝機能数値が基準値上限程度ならば、保険加入できる可能性はあります。

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肝血管腫(カンケッカンシュ)

人間ドックなどの腹部超音波検査によりよく発見される腫瘍です。良性の海綿状血管腫、悪性の血管肉腫と血管内皮腫の3種類に分けられます。肝血管腫は海綿状血管腫が大半です。海綿状血管腫は、健常成人の約10~15%に見られ、大きさは直径1cm未満から20cmまであります。男性より女性に多く、30歳から50歳がピークです。

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肝硬変(カンコウヘン)

肝臓が硬くなり、外観が萎縮し表面は凹凸不整になった状態をさします。これはウイルス肝炎やアルコール性肝炎、その他の慢性的な肝臓病が長期間続いた結果、肝細胞が死に、その再生過程で線維増生が起こった結果であり、いわゆる肝臓病の終末像です。最初にみられる症状は脱力感、掻痒感、筋肉痛、体重減少など非特異的症状が多く、病期が進行すると合併症により多彩な症状を呈し、腹水による腹部の膨満感やむくみ、消化管の静脈瘤の破綻による吐下血、脳症による意識障害・昏睡、食思不振・嘔吐などがあります。

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肝腫大(カンシュダイ)

肝臓の大きさが、正常な範囲を超えて拡大することをいい、肋骨縁よりも下の位置に肝臓があることが触診によって確認できるほど肝臓が拡大している状態をいいます。肝腫大の原因を大きく分けると、感染症(ウイルス性および細菌性)、寄生虫、悪性病変(腫瘍)、貧血、中毒状態、蓄積症、心不全、先天性心疾患、代謝障害などがあります。

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肝腫脹(カンシュチョウ)

肝臓の大きさが、正常な範囲を超えて拡大することをいい、肋骨縁よりも下の位置に肝臓があることが触診によって確認できるほど肝臓が拡大している状態をいいます。原因は感染症・寄生虫・悪性病変・先天性心疾患・代謝障害などがあります。

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肝腫瘍(カンシュヨウ)

肝臓に発生する腫瘍で、原発性と転移性があります。原発性のものは肝芽腫や肝細胞がんのように悪性のものと、血管腫、過誤腫、嚢腫などの比較的良性のものがあります。肝芽腫は、1歳をピークに乳幼児に発症する病気で、胎生早期の未熟な肝細胞から発生します。原因には、がん細胞の成長を抑制するがん抑制遺伝子の異常や、そこに結合する蛋白質の異常などとの関連が示唆されています。

肝芽腫、肝細胞がん

肝血管腫、肝過誤腫、肝嚢胞

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感染性胃腸炎(カンセンセイイチョウエン)

何らかの微生物感染による吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、血便などの消化器症状と発熱を中心とする病気です。下痢は、軟便または水様便となり1日3回以上起こる状態です。30日間以上続くものを慢性下痢とよびます。

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肝臓がん(カンゾウガン)

原発性肝がんと転移性肝がんに大別されます。原発性肝がんは、肝細胞がんが約90%、胆管細胞がんが約5%を占め、残りには肝細胞芽腫、肝細胞・胆管細胞混合がん、未分化がん、胆管嚢胞腺がん、カルチノイド腫瘍などが含まれます。主要な発生要因は肝炎ウイルスの持続感染です。肝細胞で長期にわたって炎症と再生がくり返されるうちに、遺伝子の突然変異が積み重なり、肝がんへの進展にいたると考えられています。肝がんに特有の症状は少なく、肝炎・肝硬変などによる肝臓の障害としての症状が主なものとなります。

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肝内結石(カンナイケッセキ)

肝臓でつくられた胆汁は胆管の中を流れて十二指腸に流入します。肝内結石とは、これらの胆管のうち肝臓内に存在する胆管に結石ができる病気です。また、他の胆嚢結石症や総胆管結石症と異なり、治療が難しくまた治療後の再発率が高いことが知られています。腹痛や発熱といった症状がほとんどで、特徴的な症状はありませんが、結石が胆汁の流れを妨げるために黄疸が見られることもあります。

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肝嚢胞(カンノウホウ)

肝臓のなかに液体のたまった袋ができる病気です。主として人間ドックなどの超音波検査によって、無症状で発見されます。ほとんどが先天性で良性の病気ですが、原因が明らかなものとして、外傷性・炎症性・腫瘍性・寄生虫性などの嚢胞があります。また、肝臓だけでなく腎臓、膵臓、脾臓、卵巣などに多発する嚢胞を形成する病気の場合もあります。

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肝膿瘍(カンノウヨウ)

肝膿瘍とは肝臓に膿瘍が形成される病気です。大腸菌、ぶどう球菌、連鎖球菌、赤痢アメーバなどの原因となる細菌や原虫が肝臓組織内に侵入増殖して起こるものと、腸炎、胆道炎、虫垂炎などの炎症から波及して起こるものがあります。一般に治療は、抗生剤を投与して、超音波検査下で膿瘍よりドレナージにより膿を体外へ排出します。

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逆流性食道炎(ギャクリュウセイショクドウエン)

通常、胃と食道の間は、胃から胃酸や食べ物が食道内へ逆流しないように、一定の圧力がかかり、閉まっています。しかし、何らかの原因で胃酸が食道へ逆流し、その酸が原因で食道胃接合部の食道粘膜に炎症をおこしてしまった状態をいいます。胃食道逆流症ともよばれます。

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急性上腸管膜動脈閉塞症(キュウセイジョウチョウカンマクドウミャクヘイソクショウ)

胃腸や肝臓、膵臓など消化吸収に関わる内臓に酸素や栄養を送る上腸間膜動脈が突然に詰まる病気です。発症直後に激しい腹痛や腹膜炎となり、進行すると腸閉塞症状(嘔吐・脱水症状・血便など)が起こり、さらに症状が進むと、顔面蒼白、手足の冷感、脈や呼吸が速く弱くなるなどのショック状態となり、早期に手術をしないと死に至る事もあります。

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急性膵炎(キュウセイスイエン)

膵臓自体が分泌する酵素によって、膵臓組織が自己融解を起こす病態をいいます。胆石による膵管の閉塞やアルコールの過剰摂取が主な原因であり、流行性耳下腺炎・副甲状腺機能亢進症・高脂血症などの代謝異常、胃・十二指腸潰瘍、ステロイド投与が引き金となることもあります。心窩部から左右季肋部にかけて持続性の疼痛があり、背部の放散痛・悪心・嘔吐を認めることもあります。炎症が腹膜に波及すると、筋性防御などの腹膜刺激症状を認めるようになります。

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急性腸炎(キュウセイチョウエン)

腸の急な炎症による腹痛・下痢・嘔吐などが現れる症状名で、様々な病気が含まれます。小腸と大腸同時に発生する事が多く、細菌・ウイルス・原虫・寄生虫・菌交代現象などの感染症が原因となる感染性腸炎と、虚血性腸炎・卵やそば等のアレルギー・アルコールの過剰摂取などが原因でおこる非感染性腸炎があります。

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局所性腸炎(キョクショセイチョウエン)

回腸末端から大腸及び小腸の腸管壁の全層にわたって、粘膜から筋層まで深い慢性の潰瘍性病変をひきおこす疾患の総称です。これらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。クローン病ともいいます。

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虚血性大腸炎(キョケツセイダイチョウエン)

大腸に栄養を送る血管の血流が不足し、腸管が虚血となり、粘膜の浮腫・出血・潰瘍などが出現する病態をいいます。もともと血管に動脈硬化性の変化があるところに、便秘による腸管内圧の上昇などが加わり起きると考えられており、高齢者や、糖尿病・膠原病・血管炎などの基礎疾患がある場合に多くみられます。突然の激しい左下腹部の腹痛・下血・下痢で発症し、悪心・嘔吐・発熱が認められることもあります。

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クローン病(Crohn’s Disease)(クローンビョウ)

回腸末端から盲腸(回盲部)を中心に、大腸及び小腸の腸管壁の全層にわたって、粘膜から筋層まで深い慢性の潰瘍性病変をひきおこす疾患の総称です。これらの病変により腹痛や下痢、血便、体重減少などが生じます。原因不明ですが、遺伝、感染、免疫異常が考えられており、青年後期および成人初期に好発します。

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憩室炎(ケイシツエン)

1つ以上の憩室に感染症や炎症が起きた状態で、憩室の分類としては先天性と後天性のものがあり、後天性は内圧により押し出された圧出性憩室とや外部の瘢痕(はんこん)などにより牽引された牽引性憩室などに分類されます。典型的な憩室炎は左側の下腹部に圧痛があり、発熱します。また、高齢者で特に免疫系を抑制するコルチコステロイド薬やその他の薬を服用している人は、重篤化の危険が高くなります。

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憩室症(ケイシツショウ)

憩室がたくさんある状態で、大腸のどの部位にも起こりますが、直腸の寸前で大腸の最後の部分に当たるS状結腸に最も多く起こります。憩室は腸の筋肉層のれん縮によって起こり、繊維質が少ない食事や水分の摂取不足と関連があると考えられています。憩室自体はほとんどの場合無症状ですが、憩室症は原因不明の痛みを伴ったけいれんや下痢、その他の腸の運動障害、血便などを起こすことがあります。

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下痢症(ゲリショウ)

便の水分量が増加し、かゆ状の便となってくるのが下痢です。原因としては、腸粘膜からの腸液が多量に分泌される分泌性下痢、腸粘膜の障害あるいは腸内容物の浸透圧の上昇によって水分の吸収が阻害される浸透圧性下痢、腸管の運動亢進のため腸内容物の通過が速く、水分吸収が不十分による下痢などが挙げられます。いくつかの原因が関係して下痢になる場合が多く、原因となる病気も腸管その他臓器の疾患、内分泌や代謝疾患、神経系疾患とさまざまです。引受査定は原因疾患によります。

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口唇口蓋裂(コウシンコウガイレツ)

口唇に披裂を生じて生まれる病気のことをいいます。胎児期に顔面突起が組合わされて口唇が形成されますが、誕生時に口唇の披裂が残った状態を口唇裂といい、口蓋突起が最後までくっつかずに生まれるを口蓋裂といいます。原因不明ですが、種々の環境要因・遺伝因子が組み合わされて発症すると考えられています。症状によって口唇裂、兎唇(上唇裂)、口蓋裂などと呼びます。

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口内炎(コウナイエン)

  口の中や舌の粘膜に起きる炎症の総称をいいます。カタル性口内炎、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎などがあり、一番多く発生するのがアフタ性口内炎です。偏食による鉄分やビタミンの不足、ストレスや睡眠不足、唾液の不足、口腔内の不衛生、口腔粘膜への物理的刺激などが原因としてあげられます。
  治療には、外用薬や内服薬を用います。口内炎の原因によって、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗消炎剤などを使い分けします。
  アフタ性口内炎は、赤く縁取られた円形の白い潰瘍のアフタが、唇やほおの内側の軟らかでゆるみがある組織や舌、口底、軟口蓋、咽喉に発生します。小さなアフタ(直径が約1センチメートル未満)が2~3個群がって発生し強い痛みを起こしますが、10日以内に自然に消滅して傷あとは残りません。
  カタル性口内炎は、口腔内の粘膜が炎症・白濁・ひびが入っているような症状を起こす口内炎です。 紅斑性口内炎とも呼ばれています。
  潰瘍性口内炎は、口腔粘膜に潰瘍が生じる口内炎です。病変部には灰白色でかさぶたのできることが多く、これをはがすと出血します。
  その他、カンジダ性口内炎、ヘルペス性口内炎、ベーチェット症候群、扁平苔癬、天疱瘡、薬剤性口内炎などがあります。
  口内炎の現症では、基礎疾患があるかもしれないので、引受査定は注意が必要です。

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GIST(ジスト)

GIST(gastrointestinal stromal tumor)は、胃・小腸・食道・腸間膜・大腸に発生する消化管間質性腫瘍の1つで、悪性腫瘍と考えられています。好発年齢は50歳~60歳代で、部位としては胃が一番多いです。胃がんや大腸がんと比較して症状は少ないです。腫瘍径の小さいうちに切除手術が行われます。

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痔瘻・肛門周囲膿瘍(ジロウ・コウモンシュウイノウヨウ)

直腸、肛門部の感染症で、直腸・肛門周囲にうみがたまった段階を肛門周囲膿瘍といい、たまったうみが排出され、結果として直腸・肛門と交通のある難治性の管ができる事を痔瘻といいます。多くは下痢などの時に肛門小窩に便が入り、細菌が肛門周囲に侵入して炎症を起こします。薬物治療は通常無効で手術の必要があり、また痔瘻を長年放置すると、ガン化することがあります。

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十二指腸潰瘍(ジュウニシチョウカイヨウ)

胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものを総称して消化性潰瘍と呼びます。その代表が十二指腸潰瘍と胃潰瘍です。十二指腸潰瘍は10~20歳代の若年者に多くみられ、また過酸症であることが圧倒的に多くなっています。ピロリ菌に由来するものが95%といわれており、夜間の空腹時痛がよくみられます。空腹時に右脇腹が痛むのが臨床症状の特徴です。

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食道アカラシア(ショクドウアカラシア)

アカラシアは、食道と胃をつなぐ食道噴門部の食道括約筋が運動障害を起こす疾患です。食道噴門部の開閉障害もしくは食道蠕動運動の障害により、飲食物の食道通過が困難となります。持続的な嚥下障害があるため、食物の逆流、嘔吐、胸痛、胸やけ、背中の痛みなどがみられ、また冷たい水や精神的刺激で誘発されて悪くなり、固形物や液体もうまく飲み込めなくなります。
  アカラシアの治療としては、風船で食道を拡張させるバルーン拡張術が一般的に行われています。しかしこの術式は再発が起こりやすいため、腹腔鏡下手術で食道の筋層を切開して胃噴門部を弛緩させる治療が行われることも多いです。
  近年、新しい治療法としてPOEM(per-oral endoscopic myotomy)が開発されました。POEMは食道の内側から筋層を切開する手術で、ゴムの輪のように食道を締め付けている食道輪状筋を切開します。

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食道がん(ショクドウガン)

約半数が食道の真ん中から、次に食道の下部に発生し、90%以上が扁平上皮癌です。その他に頻度はまれですが、未分化細胞癌・癌肉腫・悪性黒色腫や、筋層などの細胞から発生する消化管間質腫瘍も発生することがあります。食道は気管・気管支や肺、大動脈、心臓などの臓器が近接している為、がんが進行するとこれら周囲臓器へ広がります。確立したリスク要因としては喫煙と飲酒があり、また、熱い飲食物が食道粘膜の炎症を通して食道癌のリスクを上げるといわれています。

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食道静脈瘤(Esophageal varices)(ショクドウジョウミャクリュウ)

食道粘膜下層の静脈が拡張・蛇行し、瘤状に隆起して静脈瘤を形成したものをいいます。肝硬変や慢性肝炎、あるいは門脈や肝静脈の狭窄・閉鎖によって門脈圧が上昇し、その結果、食道の粘膜下層の静脈が太くなって、静脈瘤を形成します。静脈瘤自体の症状は見られませんが、静脈瘤が破裂すると大量の吐血が起こり、出血量が多くなるとショック症状をきたします。

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食道裂孔ヘルニア(ショクドウレッコウヘルニア)

食道は頸部から始まり後縦隔を通り、腹腔内に出たところで胃につながっていますが、その後縦隔から腹腔内へ通じる孔を食道裂孔といいます。食道裂孔ヘルニアとは食道裂孔より胃の一部あるいは全部が後縦隔内へ脱出した状態をいいます。胃の脱出の状況により滑脱型、傍食道型、混合型に大別されます。

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C型肝炎(シーガタカンエン)

C型肝炎ウイルスの初感染後に発症する急性肝障害をC型急性肝炎といい、症状は比較的軽いものの約70%が慢性化します。感染経路は輸血や血液製剤が主でしたが、供給血液からHCV抗体をスクリーニングできるようになり大幅に減少しました。現在の主な感染経路は医療従事者の針刺し事故・入れ墨・覚醒剤静脈注射の回し打ちなどがあります。また、一旦慢性化すると自然治癒は困難であり、慢性肝炎→肝硬変→肝細胞ガンへと進展していきます。

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膵臓がん(スイゾウガン)

一般的に浸潤性膵管がんのことをいい、発生する部位により、膵頭部がん・膵体部がん・膵尾部がんに分類されます。膵臓周囲には太い血管やリンパ節が存在しているため、これらにがんが浸潤することで全身にがんが転移しやすくなります。リスク要因として、糖尿病、慢性膵炎など、膵臓障害と深い関わりがあり、また、喫煙との関係も指摘されています。

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舌がん(ゼツガン)

口腔がんの一つです。舌前方と舌下面の範囲で発生する腫瘍で、好発部位は舌の両側縁です。初期症状は白斑や紅斑を含むびらんや潰瘍であり、進展するに従い結節等も認められます。発症要因として考えられているのは、飲酒や喫煙などの化学的な慢性刺激、歯による機械的な慢性刺激などがあげられます。

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鼠径ヘルニア(ソケイヘルニア)

足の付け根である鼠径部に、腸などの臓器の一部が飛び出した状態をいいます。鼠径部にこぶのような膨らみがあり触ると柔らかく、初期のころは起立時やお腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜や腸の一部などが突出し、指で押さえると引っ込みます。次第に小腸などの臓器が出てくる事により不快感や痛みを伴い、腹痛や嘔吐が出て来た場合は、手術をしなければ命にかかわることがあります。

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大腸癌(ダイチョウガン)

盲腸・結腸・直腸を含む大腸に発生する癌腫のことをいいます。大腸の壁は粘膜・粘膜下層・筋層にわかれており、粘膜内や粘膜下層までの癌の場合は内視鏡切除や手術で完治します。卵巣癌・子宮癌・乳がんに罹患した既往歴がある人、家族性大腸腺腫症で全大腸切除を施されない場合、潰瘍性大腸炎に長期罹患で寛解がコントロールされていない症例、その他、過体重・肥満、加工肉、飲酒などがリスク要因としてあげられます。

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大腸憩室炎(ダイチョウケイシツエン)

憩室とは大腸の壁の弱いところにできる袋のことをいい、そこで炎症や、穿孔が起こった状態のことをいいます。多くはS状結腸や左側結腸にできますが、大腸のあらゆる部位にできることもあります。主症状としては、腹痛、下痢、仙痛、排便習慣の変化などがあり、繊維の少ない食事を長年摂取しつづけると、腸管内の圧が高くなり、その結果憩室を生じます。

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大腸ポリープ(ダイチョウポリープ)

大腸の限局性の隆起性変化と定義されます。腺腫性ポリープは大腸上皮の腫瘍性増殖によって生じ、前がん病変ともいわれています。増大するとがん化の危険率も増します。一方、過形成性ポリープは上皮の過形成によって生じる粘膜の隆起性病変をいい、がん化の危険性は極めてまれです。手術は大腸内視鏡によるものが一般的です。いずれにしても病理組織診断書がなければ良性悪性の区別はつきませんので、主治医診断書を取寄せることが大事です。

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唾液腺炎(ダエキセンエン)

唾液腺に起こる炎症をいい、原因は細菌・ウイルス感染、免疫異常によるものなどがあります。侵される唾液腺によって耳下腺炎、顎下腺炎、舌下腺炎などに分けられ、耳下腺ではおたふく風邪として知られる流行性耳下腺炎が最も一般的です。

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唾液腺腫瘍(ダエキセンシュヨウ)

唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺の大唾液腺と、口腔内の小唾液腺とがあり、大部分が大唾液腺に発生します。良性腫瘍では多形性腺腫・ワルチン腫瘍が多く、悪性腫瘍では粘膜表皮癌・腺房細胞癌・腺様嚢胞癌・腺癌があります。原因不明で誘因も定かではありません。最も多い症状は、腫脹・膨隆・腫瘤の形成です。悪性は比較的急速に増大し疼痛がおこり、進行すると顔面神経麻痺などの神経症状や顎骨・皮膚・粘膜に浸潤して潰瘍を形成します。

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唾石症(ダゼキショウ)

唾液腺に結石が生じた状態をいいます。大半は顎下腺に起こりますが、耳下腺にも生じる場合もあります。原因は不明ですが、唾液の排出管に入り込んだ異物や細菌などを核として、そのまわりに唾液に含まれるカルシウムが沈着してできると考えられています。

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脱肛(ダッコウ)

肛門や直腸の下のほうの粘膜が肛門外に脱出する病気です。肛門粘膜脱ともいい、内痔核が進んで、肛門の外に脱出するようになった状態を指すこともあります。加齢で肛門括約筋・肛門・直腸粘膜を支えている組織が弱くなること、肛門手術後の障害などが原因としてあげられます。痔核の脱出によるものでは悪化すると痔核の嵌頓(かんとん)状態となり、激しい痛み・壊死・感染・発熱などがみられます。

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胆管がん(タンカンガン)

胆管の上皮から発生する悪性腫瘍で、発生部位により、肝内胆管がんと肝外胆管がんの2種類に分けられます。食欲不振・全身倦怠感・腹痛・黄疸などが主症状で、がんで胆管内腔が閉塞し胆汁が流れなくなると黄疸、腸内に胆汁が流れなくなると白色便がおこり、その他黄疸尿やかゆみが起ります。胆石症・胆管炎・膵胆管合流異常症などの胆道疾患や潰瘍性大腸炎、クローン病が危険因子として知られています。

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胆管結石(タンカンケッセキ)

胆管のうち肝臓内に存在する胆管に結石ができる病気で、治療が難しくまた治療後の再発率が高いことが知られています。腹痛や発熱、その他に黄疸が見られることもあります。

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胆石症(タンセキショウ)

胆道にできる結石を総称して胆石といい、肝内結石・胆管結石・胆嚢結石があります。コレステロール系結石は、胆汁中のコレステロールが結晶になったもので、肥満や過食、ホルモンや薬の作用、ストレスなどが影響しており、色素結石は胆汁の成分であるビリルビンに細菌などが作用してできたものです。典型的な症状は、上腹部から右わき腹にかけて突然激痛が襲う疝痛発作があります。

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胆道閉鎖症(biliary atresia; BA)(タンドウヘイサショウ)

肝臓と十二指腸を結ぶ胆道が閉鎖している病気です。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れないため、黄疸を引き起こし、放置すると胆汁性肝硬変に進行して死亡の危険性が高まります。先天性または生後間まもなく完全に詰まり、胆汁を腸管内へ排泄できないため、脂肪・ビタミン等の吸収が悪くなり、ビタミンKが欠乏すると出血しやすくなり、脳出血などを起こすこともあります。

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胆嚢炎(タンノウエン)

胆嚢の出口である胆嚢管が胆石などによって閉塞して胆嚢内の圧力が上昇し、胆嚢壁内の血流が悪くなったり、リンパ管の流れが障害されて壁がむくみ、胆嚢内に存在する細菌が増殖して炎症が起こる疾患です。胆嚢の炎症が慢性的に持続している場合や、急性胆嚢炎を繰り返して胆嚢壁が肥厚したり、胆嚢が萎縮した状態を慢性胆嚢炎と呼びます。

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胆嚢がん(タンノウガン)

胆嚢から発生する悪性腫瘍で、初期では併存する胆石症や胆嚢炎による腹痛や発熱などの症状が出現しても、がん自体による特徴的な症状がない為に早期に発見されることが少なく、有効な治療法に乏しいため、予後の悪い癌といわれています。進行して胆道を圧迫するようになると、血清ビリルビンやALPが異常高値となり、さらに進行すると黄疸が出ることがあります。腫瘍マーカーであるがん胎児性抗原(CEA)やCA19-9の数値が高値になります。

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胆嚢結石(タンノウケッセキ)

胆道にできる結石のうち胆嚢に結石が出来るものです。肥満や過食・ホルモンや薬の作用・ストレスや、ビリルビンに細菌などが作用してできます。典型的な症状は、上腹部から右わき腹にかけて突然激痛が襲う疝痛発作があります。

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胆嚢ポリープ(タンノウポリープ)

胆嚢の周囲の粘膜面と区別できる、2cm以下の限局性の粘膜の盛り上がりをいい、腫瘍性のポリープと非腫瘍性のポリープとがあります。殆どの場合、症状が現れることはありませんが、できる場所や大きさによって腹痛や不快感などが現れる場合もあります。上腹部痛などが現れる場合は胆石や胆嚢炎などが原因のことが多くなっています。一般に手術は腹腔鏡下胆嚢摘出術が実施されます。

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虫垂炎(チュウスイエン)

小腸から大腸に移った直後の大腸を盲腸といい、その末端からの突起物を虫垂といいます。その虫垂内部が腸の内容物やリンパ濾胞の増殖などにより詰まってしまい、2次的に細菌感染を併発した状態をいいます。虫垂が破裂すると細菌を含んだ腸の内容物が腹腔内へ漏出して腹膜炎を起こしたり、膿瘍を形成します。

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腸閉塞(イレウス;Ileus)(チョウヘイソク)

腸管内容の肛門側への移動が障害される病態をいいます。腸管が閉塞するとガスや腸液により拡張し、静脈還流が障害され腸管壁が浮腫を起こして水やナトリウムが漏出します。その結果、腸管内圧が上昇して動脈血流の障害が起こり、腸管の壊死・穿孔を引き起こします。原因としては、クローン病・潰瘍性大腸炎・大腸ガンなどの合併症、腸内部の異物による閉塞、腸外部からの圧迫などがあります。

注)原因疾患がある場合には、原因疾患にて査定されます。手術ありの場合には、主治医診断書により悪性疾患を否定することが望ましいです。

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直腸癌(チョクチョウガン)

肛門までの10センチ前後の粘膜にできた悪性の腫瘍で、腺腫性のポリープから発生するものが大部分です。主症状は血便ですが、滞便・便秘・下痢などもみられます。食物繊維の摂取不足と動物性脂肪の摂取増加が要因としてあげられます。その他に、排便時の硬い便の刺激などにより、がんの前身であるポリープを発症すると考えられています。

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直腸ポリープ(チョクチョウポリープ)

直腸粘膜上皮に生じた限局性の隆起病変です。きのこ状の茎のある有茎性のものと無茎性のものとがあり、病理組織的分類では腫瘍性と非腫瘍性に分類されます。大腸がん・直腸がんの発生と同じく、動物性脂肪や蛋白質の消費と関係があるといわれていますが、原因についてはわかっていません。無茎性、腫瘍性の中の腺腫性、サイズが1cm以上のものはがん化しやすくなります。

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内痔核(ナイジカク)

痔核は正常に存在し肛門の閉鎖に役立っている部分であり、それが大きくなって出血や脱出するようになると、病気として認識されます。肛門部への負担をかけていると、肛門を閉鎖している部分に力が加わって、うっ血を来し出血するようになります。さらに負担が加わると、その部分を支えている組織を断裂させ外へ脱出するようになります。

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日本住血吸虫症(ニホンジュウケツキュウチュウショウ)

日本住血吸虫という寄生虫とその卵によって起こる病気です。この寄生虫は中国・フィリピン・インドネシアなど東南アジアに広く棲息しています。侵入した幼虫の数・発育の差・産卵の部位などにより症状は異なりますが、粘血便や腹痛などの急性腸炎を示す消化器症状のほか、高度の貧血を伴う急性腎炎の症状や呼吸器症状などが現れることがあります。

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脾腫(ヒシュ)

何らかの原因によって脾臓が腫れて大きくなった状態をいいます。原因は脾臓自体にはなく、肝炎・マラリアなどの感染症、白血病・骨髄線維症・溶血性貧血などの血液疾患、ニーマン・ピック病・ウォルマン病などの代謝異常、その他、肝硬変・門脈亢進症・脾静脈の狭窄や閉鎖などで起こります。脾腫が進むと脾臓の機能が亢進し、血球を過剰に破壊するため貧血や出血しやすくなります。

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ヒルシュスプルング病(ヒルシュスプルングビョウ)

先天性巨大結腸症とも呼ばれ、消化管の動きを制御している腸の神経節細胞が、生まれつき無いために重い便秘症や腸閉塞をおこす病気です。浣腸や肛門プジー、洗腸などで排便がコントロールできない場合や腸炎が改善しない場合などには一時的な人工肛門の増設が必要になります。

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B型急性肝炎(ビーガタキュウセイカンエン)

B型肝炎ウイルスの初感染後に発症する肝炎をB型急性肝炎といいます。HBV感染は血液を介するものであり、感染経路としては、母子感染・性行為による感染・医療従事者における針刺し事故などがあります。急性肝炎と慢性肝炎に分けられますが、慢性化することはまれです。発熱や全身倦怠感、食欲不振や悪心・嘔吐が出現し、黄疸となる可能性もあります。慢性肝炎になった場合、肝硬変あるいは肝臓癌の転帰をとることもあります。

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B型慢性肝炎(ビーガタマンセイカンエン)

肝臓の持続性の炎症が6ヶ月以上続く病態を慢性肝炎と言います。その際、脂肪肝、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎などを除外します。日本では70%強がC型肝炎ウイルス(HCV)、約20%がB型肝炎ウイルス(HBV)によるものと言われています。

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腹壁ヘルニア(フクヘキヘルニア)

腹の壁の弱い部分から、腹のなかの内臓が腹膜に包まれたまま脱出する状態をいいます。内臓が脱出する部分をヘルニア門、脱出する内臓をヘルニア内容、ヘルニア内容を包む膜をヘルニア嚢と呼びます。最も一般的なものは、腹部の手術部分にみられるもので、腹壁を支える筋膜に欠損部ができ腹膜に包まれた内臓が突出する腹壁瘢痕ヘルニアです。その他、先天的または外傷などによって後天的にできた腹壁のくぼみに内臓、主に腸が入り込んだり滑り込む形で突出します。

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腹膜炎(フクマクエン)

腹腔内をおおう膜である腹膜が、細菌感染や物理的・化学的刺激によって炎症が起こるものをいいます。腹膜炎は急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分類されます。原因としては、虫垂炎・胆嚢炎・膵炎など腹腔内の臓器の炎症が腹膜へ波及することによって生じる細菌因子と、外傷・消化管疾患や腸間膜の虚血による消化管穿孔が原因によって起こる胃液・胆汁などの腹膜への漏出による化学因子があります。

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マロリーワイス症候群(マロリーワイスショウコウグン)

嘔吐などにより腹腔内圧が急激に上昇し、食道と胃の接合部(噴門部)近傍に裂傷が発生し、その部より出血をきたすものをいいます。原因は飲酒、食中毒、乗り物酔い、妊娠悪阻などがあり、症状には繰り返す嘔吐後の吐血、下血、心窩部痛、立ちくらみなどがあります。

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慢性膵炎(マンセイスイエン)

急性膵炎の再発が繰り返されることによって成立し、膵臓の破壊が広範囲に起こる病態をさします。膵臓で産生されるインスリンの分泌低下は糖尿病と直結し、その他の消化酵素の分泌低下に伴い、消化・吸収障害が起こり、膵石が高頻度で合併します。原因の過半はアルコールですが、胆石や自己免疫によるもの、また原因不明のものもあり、持続・反復する上腹部痛と背部痛が主な症状です。

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薬剤性肝障害(ヤクザイセイカンショウガイ)

薬剤(毒物、化学物質)による直接的あるいは間接的な肝障害です。薬剤性肝障害は自覚症状に乏しく肝機能検査で発見されることが多くあります。薬剤使用後1~4週間以内に肝機能障害を認め、発熱、発疹、皮膚痒掻、黄疸をきたします。胆道系酵素の上昇度合いにより、肝細胞障害型薬剤性肝障害と胆汁うっ滞型薬剤性肝障害に分けられます。
肝細胞障害型では、解熱鎮痛薬のアスピリンやアセトアミノフェン、抗結核薬のイソニアジド、リファンピシン、ハロタンなどの麻酔薬が原因で、黄疸は軽度です。
一方、胆汁うっ滞型では、経口避妊薬、男性ホルモンのメチルテストストロン、抗甲状腺薬のプロピルチオウラシル、抗精神薬のクロルプロマジンが原因で皮膚痒掻を伴う中等度から高度の黄疸が見られます。治療は原因薬剤の服用を中止して肝庇護剤などで経過を観察します。

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流行性耳下腺炎(おたふく風邪)(リュウコウセイジカセンエン・オタフクカゼ)

ムンプスウイルスによる感染で、唾液を通じての空気感染または接触感染でうつり、耳下腺・舌下腺を侵し、有痛性の腫脹があります。髄膜脳炎や膵炎を併発することもあり、男子では睾丸炎をおこすと男性不妊の原因となります。その他、関節炎や心筋炎、心膜炎、腎炎をおこすこともあります。

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