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No.4651 職場のエンゲージメント向上のためには?

● 近年注目度が増しているエンゲージメント

 人材不足が深刻になりつつある現代においてはエンゲージメントという考え方が重要になってきており、最近注目されている。エンゲージメントには、代表的なものとして「ワークエンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」の2種類があり、ワークエンゲージメントは、仕事にやりがい(誇り)を感じ、熱心に取り組み、仕事から活力を得ている状態を指し、個人と仕事との関係に着目している。一方、従業員エンゲージメントは、企業などの所属組織への貢献意欲を指し、個人と組織との関係に着目しているものである。

 働きがいに関係する概念として近年注目度が増しているエンゲージメントについて、このたび厚生労働省は、職場のエンゲージメント向上に向けた取組支援のためのサイトやリーフレットを作成しているので事例紹介も含めてぜひ参考にしていただきたい。

● なぜエンゲージメント向上に取り組むのか?

 なぜエンゲージメント向上に取り組まなければならないのかというと、エンゲージメント向上によって、主に以下の3つの効果が期待できるからである。

  1. 組織に対する従業員からの信頼が高まる
  2. 従業員の能力が最大限に発揮される
  3. 従業員が健康に・活き活きと働き続けられる

 エンゲージメントが向上することにより、従業員の定着や、生産性の向上などが期待できるわけだが、そんなに簡単なことではない。大企業だけではなく実は中小企業こそ取り組まなければいけないところだが、つい後回しにしてしまいがちなところである。従業員が定着しない組織では一体感も薄れてしまうことから、エンゲージメント向上は最優先で取り組むべき経営課題の1つといえるのではないだろうか。

● 向上のために、まずは現状確認から

 職場のエンゲージメント向上のためにまず行うことは、①働きがいの現状を確認してみることだ。そして日々の仕事について、②柔軟かつ多様、そして快適な労働環境の整備と、③仕事の意味や面白さを見出せるような働きかけによって、従業員の能力発揮を促す。

 また、④従業員と組織が同じ方向を向いて努力する状態を作り、従業員の頑張りに対して⑤納得感のある形で報いることで、やる気や信頼関係が向上していく。さらに、⑥従業員の能力・キャリア開発を充実させることで、従業員のできること・やりたいことが広がっていくことになる。②から⑥をまわしていきながら面接やサーベイ等を通して定期的に①現状確認をすることで取組みの進捗状況や新たな課題を把握していけばいい。

 このように社内で実際に進めていくには、土台となる体制づくりが重要で、取組みの推進役となる人を育成・支援するだけでなく、協力者を巻き込んでいくことを推奨している。全員が「自分が取組みの主役である」と感じられるほど、その取組みが効果的になりやすいので、何か名称をつけて1つのプロジェクトとしてもよいだろう。

 いずれにしてもできることからまず始めることこそ重要であり、働きがいの現状確認ということであれば、例えば定期面談でやる気の変化を確認したり、改善状況について職場で話し合ったりするということでもいい。継続していくことで変化や新たな課題に気づくことが大切であるので、ぜひ実際に取り組んだ企業の事例も参考にしながら着手してほしい。

参照: 働き方・休み方改善ポータルサイト ワークエンゲージメントとは

2024.04.15

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/