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No.4643 求人票に明示すべき労働条件が3点追加に

● 労働基準法に基づく労働契約締結時の明示義務と同様の改正

 2024年4月1日から職業安定法施行規則の改正により、ハローワークに求人申込みを行う場合は、求人票に明示する労働条件が3点追加になった。これは、労働基準法に基づく労働契約締結時の明示義務と同様の法律の改正となっている。従業員の採用活動には苦戦している企業も増えてきており、さらに求職者も労働条件を細かく確認する人が多くなっているので改正事項をよく理解して対応していただきたい。

● 従事すべき業務や就業場所は、将来変更になる見込みの範囲まで記載

 求職者等に対して明示しなければならない労働条件に、以下の3つの事項が追加された。

1.従事すべき業務の変更の範囲

 ここでいう「変更の範囲」とは、雇い入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込も含めた労働契約期間中における変更の範囲のことをいう。例えば、雇い入れ直後の業務の範囲が「一般事務」であって、今後見込まれる範囲として「経理事務」などの可能性があれば、変更の範囲として具体的に記載する。

 業務に限定がない場合は、すべての業務を含める必要がある。この場合の記載の仕方としては「会社の定める業務」や「会社内でのすべての業務」とする。実務的には配置転換の可能性が少しでもあればこのように記載しておくのが無難である。

2.就業場所の変更の範囲

 上記1.と同様に、就業場所においても、雇い入れ直後とその後における就業場所の変更の範囲を記載することが必要になった。就業規則でテレワークについて規定している場合、またはテレワークを行うことが通常想定されている場合は、就業場所としてテレワークを行う場所が含まれるように明示しなければならない。

 就業場所が一定の範囲に限定される場合は、例えば「千葉県内の事業所」などと記載し、限定のない場合は、「本社及び全ての支店、営業所、労働者の自宅での勤務」や「会社が定める場所(テレワークを行う場所を含む)」などと記載する形でも問題はない。

3.有期労働契約を更新する場合の基準

 有期労働契約の場合、通算契約期間または更新回数の上限を明示することが必要になった。例えば、更新上限が「有り」の場合、「通算契約期間の上限5年、または更新回数の上限4回」という形で記載して労使双方で誤解のないように明確に記載することに変更になった。

● 自社のホームページでの募集の際にも適用される

 今頃はちょうど労働条件通知書や雇用契約書の内容を見直しして、書式を新たに作り変えて準備が終わっている会社も多いと思うが、求人票の対応も忘れてはならない。

 また、ハローワークの求人票に限らず、自社のホームページでの募集、求人広告の掲載を行う場合でも同じように募集事項において前述のような労働条件を明示しなければならない。このような大変重要な法改正にきちんと対応していない会社は、求人応募者からの印象も悪くなるし、曖昧な労働条件で入社した従業員とのちのちトラブルになる可能性もあるので企業側としては十分に注意する必要がある。

参照:
厚生労働省 令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます
ハローワークインターネットサービス 求人者の皆様へ~令和6年度から求人票に明示する事項が新たに追加されます~

2024.04.01

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/