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No.4633 令和5年分以後の財産債務調書制度の見直し

● 財産債務調書制度の提出義務者の拡充

 財産債務調書制度とは、一定の要件に該当する方が、12月31日において保有する財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した「財産債務調書」を、所得税の納税地等の所轄税務署長に提出する制度である。

 令和5年分以後の財産債務調書において見直しが行われ、提出義務者が拡充されることになった。

【改正前】

以下の1.または2.を満たす方

  1. その年分の退職所得を除く各種所得の金額の合計額が2,000万円を超える場合
  2. その年の12月31日において、その合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産(例:有価証券、未決済信用取引)を有する場合

【令和5年以後の財産債務調書】

改正前の提出義務者(上記の1.及び2.を満たす方)のほか、その年の12月31日において、その合計額が10億円以上の財産を有する方も提出義務者となる

 すなわち、その年分の退職所得を除く各種所得の金額の合計額が2,000万円以下であっても、その年の12月31日において合計額10億円以上の財産を有していれば、財産債務調書を提出しなければならないこととなった。

 なお、提出義務者の拡充に併せて、提出期限もその年の翌年の3月15日から、その年の翌年の6月30日に後倒しされた。

● 記載を簡略化できる範囲の拡充

 財産債務調書の提出に当たっては、財産債務調書に記載した財産の価額及び債務の金額をその区分ごとに合計した金額を記載した、「財産債務調書合計表」を添付する必要があるが、その記載については、簡略化できる範囲が拡充された。

 改正前においては、記載を簡略化できる家庭用動産や事業用の未収入金などの金額の範囲が100万円未満であったが、改正後は300万円未満に拡充された。

 また、青色申告決算書又は収支内訳書の「減価償却費の計算」欄に記載された減価償却資産については、資産ごとに区分して記載することを省略でき、財産債務調書に総額での記載となった。

● 過少申告加算税等の特例

 財産債務調書の提出を促すため、財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、財産債務調書に記載がある財産又は債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、その財産又は債務に係る過少申告加算税等が5%軽減されるという特例が設けられている。

 一方、財産債務調書の提出が提出期限内にない場合又は提出期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産又は債務の記載がない場合(重要なものの記載が不十分と認められる場合を含む)に、その財産又は債務に関して所得税の申告漏れ(死亡した方に係るものを除く)が生じたときは、その財産又は債務に係る過少申告加算税等が5%加重される(相続財産債務について、相続財産債務を有する方の責めに帰すべき事由がなく提出等がない場合には、加重の対象とならない)。

出典:
 国税庁「財産債務調書制度等の見直しについて」
 国税庁「『財産債務調書制度』のあらまし」

2024.03.11

木下 洋子(きのした ひろこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
趣味はピアノを弾くこと。

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