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No.4627 令和6年度から奨学金制度が改正に

 子供の教育費に頭を悩ませている家庭は少なくありません。あらかじめ進学のタイミングが分かっていても、予定通りに進まない、予想以上に学費がかかってしまうこともあり、自助努力だけでは立ち行かないこともあるでしょう。令和6年度から、奨学金制度の改正が行われる予定です。どのような内容なのか確認しておきましょう。

● 多子世帯の中間層に支援対象が拡大される

 改正によって、世帯年収600万円程度までの学部段階(大学、短大、高専4・5年生、専門学校)に平成6年度から進学・修学する子供のいる家庭に支援が拡大します。具体的には多子世帯と理工農系が対象で、多子世帯の支援対象となるのは、扶養する子の数が3人以上の世帯で第1子から支援の対象となり、理工農系はそれらの学部・学科に進学・修学する子供が支援対象となります。

 支給水準は多子世帯の場合、給付型奨学金と授業料等免除をあわせて全額支援の4分の1が、一方の理工農系の場合、私立学校における文系との授業料の差額が支援されます。

● いくら支給される?

 支給の対象となるのは、昼間制と夜間制の学生の方のほかに、通信教育課程も対象です。昼間制・夜間制・通信教育ではそれぞれかかる費用が異なり、また国公立と私立では授業料等が異なり、さらに自宅と自宅外では勉学以外の費用も異なるため、下表のとおり支給額が細かく決まっています。

文部科学省「令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料減免等の中間層への拡大)」より

 通信教育課程の場合、授業料減免額および入学金減免額は多子世帯、理工農系は共通となっており、授業料減免額(年間)は32,500円、入学金減免額(1回限り)は7,500円です。給付額は多子世帯の学生等のみ支給で、給付額(年間)は12,800円です。

● 利用する際の注意点

 年収要件があり、子供の人数、ひとり親世帯なのか、ふたり親世帯なのかによって目安となる年収は異なります。ご自分の家庭は支援の対象となるのか、いくらまで支援が受けられるのかを知っておくことが必要です。

文部科学省「令和6年度からの奨学金制度の改正(授業料減免等の中間層への拡大)」より

 令和6年度からスタートする支援制度ですが、令和6年に入学する子供だけでなく、令和6年4月時点で前年度から在学している子供も対象になります。

参照: 文部科学省 奨学金事業の充実 (令和6年度~)安心してこどもを産み育てられるための奨学金制度の改正

2024.03.04

飯田 道子(いいだ・みちこ)

海外生活ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー(CFP)
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっている。主な著書には、「宅建資格を取る前に読む本」(総合資格)、「介護経験FPが語る介護のマネー&アドバイスの本」(近代セールス社)などがある。
海外への移住や金融、社会福祉制度の取材も行う。得意なエリアは、カナダ、韓国など。