お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4596 フラット35が子育て世帯に金利優遇

 全期間固定型の住宅ローン「フラット35」を提供する住宅金融支援機構から、子育て中などの世帯を支援する、新たな金利引下げ制度が始まりました。その内容を見てみましょう。

● 子どもの人数に応じて金利が下がる

 新たな金利引下げ制度の名称は、「フラット35子育てプラス」です。子育て世帯や若年夫婦世帯を対象に、全国一律で子どもの人数などに応じて、一定期間の借入れ金利が引き下げられます。既存の金利引き下げ制度のフラット35Sなど、他の金利引下げメニューとの併用も可能です。

 金利引き下げになる世帯の要件は以下のとおりです。

  • 子育て世帯:借入れ申込時に子ども(胎児および孫を含む。孫は同居が必要)がおり、借入れ申込年度の4月1日時点で該当する子どもの年齢が18歳未満である世帯
  • 若年夫婦世帯:借入れ申込時に夫婦(同性パートナーを含む)であり、借入れ申込年度の4月1日時点で夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

 具体的な金利の引下げ期間や引下げ幅は、後述するポイント数によって変わる仕組みです。基本的には子ども1人(または若年夫婦)につき1ポイントとなり、5年間は金利が0.25%引き下げられます。

● ポイントによって金利引下げ幅が変動

 フラット35の金利引下げについては、2022年10月からポイント制が導入されています。「住宅性能」「管理・修繕」「エリア」によってポイントが付与され、そのポイントに応じて10年間で最大0.5%の金利引下げとなります。

 その金利引き下げ幅ですが、「フラット35子育てプラス」の導入を機に、最大1.0%の引き下げに拡充されました。また、これまで上限4ポイントだったポイントについても、「フラット35子育てプラス」を利用した場合は、上限が撤廃されます。

 ポイント数に応じた金利引き下げについては、住宅金融支援機構のウェブサイトに詳細が掲載されています。一例で見ると、子ども2人で、住宅性能が長期優良住宅(ZEH)であれば、2ポイント+3ポイントで合計5ポイントとなり、当初5年間は1%の引下げ、6~10年目は0.25%の引き下げとなります。

 住宅ローンは、金利で比較すれば変動型が低金利なために有利です。一部のネット銀行では最優遇金利が0.2%程度のところもあります(2023年12月4日現在)。

 そういった背景からか、住宅ローンの金利タイプについては、低金利を背景に変動型を選ぶ人が72.3%と多くを占めており、金利が高めの全期間固定型は9.3%にすぎません(※)。

 今回の制度拡充は、政府が推進する「デフレ脱却のための総合経済対策」における、少子化対策・子育て支援の一環としてのもの。金利引下げ制度をきっかけに、子育て世帯や若年夫婦世帯が全期間固定型住宅ローンのフラット35を選択するのかどうかが注目です。

「住宅ローン利用者の実態調査(2023年4月調査)」(住宅金融支援機構)

2023.12.25

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/