お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4593 海外アプリ事業者に対する消費税課税問題

● 海外アプリ事業者に対する消費税課税にプラットフォーム課税を導入か?

 海外の事業者が日本国内市場向けに展開する消費者向けモバイルアプリについて、その収入に対する消費税の課税方式を変更しようとする話が持ち上がっている。

 財務省主税局が事務局を務める「国境を越えたデジタルサービスに対する消費税の課税のあり方に関する研究会」がその報告書の中で、海外で採用されている「プラットフォーム課税」の導入を提案しており、令和6年度税制改正大綱に盛り込まれる可能性がある。

● 小規模な国外事業者は、税務署も捕捉困難

 近年、デジタルサービス市場が拡大しており、その背景には大規模なプラットフォームの存在がある。プラットフォームを介することで、国内外から大小を問わず非常に多くの事業者が市場に参入できるようになり、モバイルアプリの市場規模は、2015年には約9,000億円であったところ、2024年には約5兆1,000億円(約5.7倍)にまで拡大すると予想されている。

 このように我が国のデジタルサービス市場の構造は大きく変化しているが、国外から国内に向けて行われるインターネット広告などの事業者向け(BtoB)電気通信利用役務の提供は、リバースチャージの適用により国内事業者が納税義務を負うため大きな課税上の問題は生じていない。一方、ゲームアプリなどの消費者向け(BtoC)電気通信利用役務の提供については、国外事業者自身が納税義務を負うこととなるため、税務執行上大きな課題が生じてきている。

 こうした事業者の中には、日本国内に一切拠点を持たない小規模な国外事業者も数多く含まれることから、納税義務者の捕捉や調査・徴収には自ずと限界があり、適正な課税の実現が難しい状態にある。具体的には、税務当局におけるサプライヤーに係る情報の入手手段が限られ、その特定や売上げ等の把握には限界がある。

● 海外で既に導入されている「プラットフォーム課税」

 このような課題に対して、諸外国では、取引に係る情報や決済等が集約されるプラットフォームの役割等に着目し、サプライヤーの売上げに係る付加価値税等の円滑な納税を求める観点から、プラットフォーム運営事業者にその納税義務を課す制度である「プラットフォーム課税」を導入している。日本においても、国外事業者の適正な納税を担保し、国内外の事業者間における課税の公平性を実現することによって、国内外の競争条件の中立性を確保していくべきであり、諸外国の対応を参考にしながら、消費税の課税のあり方について検討することが必要である、として提案が行われている。

 現段階では全くの白紙であるが、年末の税制改正大綱に何らかの改正が盛り込まれる可能性があるため、今後の動向を注視しておきたい。

参考:
財務省「国境を越えたデジタルサービスに対する消費税課税のあり方に関する研究会 研究会報告書(概要)」
財務省「国境を越えたデジタルサービスに対する消費税課税のあり方に関する研究会 研究会報告書(本文)」

2023.12.18

村田 直(むらた・ただし)

マネーコンシェルジュ税理士法人
税理士
大阪府茨木市出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。平成22年3月税理士登録。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。

マネーコンシェルジュ税理士法人
◎私たちは「経営者へのお役立ち度★世界一」の税理士事務所を目指します!
http://www.money-c.com/
http://sogyo5.money-c.com/

マネーコンシェルジュ税理士法人がお届けする無料オリジナルマガジン
『あんしん相続通信』

保険営業マンの皆さんへ

  • お客様への情報提供ツールとして、ご利用ください(コピー配布可)。
  • 右下の申込書の最下段に、ご自身のお名前をご記入の上、お客様にお渡しください。
  • もし、そのお客様から生命保険のご相談があった場合には、必ずご紹介させていただきます。

ご希望の方は、下記申込書にご記入の上、
06-6450-6991までFAXください。
https://www.money-c.com/kr/ASTapplication.pdf