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No.4576 令和6年4月から相続登記が義務化に

 令和6年4月1日、改正された不動産登記法が施行され、相続登記の申請が義務化されます(同法第76条の2第1項)。この改正は、相続登記の義務化だけでなく新しい制度が導入されるなど、簡単な話ではありませんので改正の内容を一緒に確認していきましょう。

● 相続登記の義務化

 文字通り、これまで任意だった相続登記が義務化になります。相続により不動産を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。これによって所有者不明の不動産を少なくすることができ、社会的な利益は大きいと考えられます。

● 対象となる相続

 過去の相続もすべて対象になります。これは注意が必要です。通常、改正法が施行される際は、施行日以降のことが対象になることが多いのですが、相続登記義務化の対象となる相続は、施行日以前の相続もすべて対象になります。

 つまり、明治、大正、昭和初期に発生したような相続でも、その相続登記がされていない場合、相続登記義務違反になるということです。相続登記義務化の話は、相続登記未了の不動産が多すぎるというところから始まっているので、施行と同時に相続登記義務違反になる不動産が極めて多いのではないかと推測されます。

 まずは、身近な相続で放置しているものがないか確認をしてみてください。父母の相続、祖父母の相続などで相続登記をされましたか?田舎の不動産も漏れなく登記がされていますか?

● 対象となる不動産

 土地と建物です。所有者不明土地が社会問題になったことから、土地だけが対象になっていると思われるかもしれませんが、条文上「不動産」が対象となっており、不動産登記法において不動産というのは「土地又は建物」ですから(同法第2条第1号)、土地と建物が対象になります。

● 過料

 正当な理由もなく相続登記をしない者は、10万円以下の過料に処せられる可能性があります。相続登記の義務は、いわゆる努力義務ではなく過料を伴う義務なのです。ここも改正の大きなポイントであり、国の本気度を感じられると言ってもよいかもしれません。

2023.11.20

髙野 守道(たかの・もりみち)

川のほとり司法書士事務所
司法書士

23歳からタクシー運転手になり34歳で個人タクシーを開業。開業2年後の東日本大震災をきっかけに司法書士試験の勉強を開始し、2015年合格。翌年に登録し、昼は司法書士、夜は個人タクシーという二足の草鞋を3年間続け、2019年から司法書士に一本化。地元葛飾において、成年後見、相続を中心に執務中。

若いころに勉強をしなかったことが功を奏し、中年になって勉強に目覚める。日本成年後見法学会、日本登記法学会、日本障害法学会などに所属する傍ら、大学の通信教育も受けている。元野球部でお笑い芸人を目指したこともあるなど、その声の大きさを活かし、相続・成年後見・遺言に関する講演実績も多数あり。

川のほとり司法書士事務所
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