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No.4574 「令和4年度租税滞納状況の概要」について

 少し前になるが、8月に国税庁から「令和4年度租税滞納状況の概要」が発表されている。滞納とは、国税が納期限までに納付されなかったために督促状が発布されたものをいい、期限内の納付を行っている大多数の納税者との間の公平性確保の観点から、国税庁では滞納となった国税について早期徴収に向けた取組みが行われている。

● 新規発生滞納額と滞納発生割合の状況

 令和4年(2022年)度の新規滞納の発生状況は、滞納額が7,196億円で対前年(令和3年)度比95.6%、331億円の減少(▲4.4%)で、滞納発生割合は1.0%(令和3年度は1.1%)であった。

 平成元年(1989年)度以降の新規発生滞納額の推移を見てみると、ピークは平成4年(1992年)度の1兆8,903億円であり、令和4年度の滞納額はそれとの比較では38.1%、約4割に相当する。また、平成16年(2004年)度以降、滞納額は1兆円を割り込んでおり、平成25年(2013年)度の5,477億円で底を打った以降は、5,500億円~7,500億円程度の範囲で推移している。

 滞納発生割合については過去10年(平成25年(2013年)度~令和4年(2022年)度)においては安定的に1.0%前後の低水準での推移となっているが、新規発生滞納額が底を打った平成25年(2013年)度以降、滞納発生割合算出の分母となる「徴収決定済額」が平成29年(2017年)度以降は60兆円を超え、さらに令和3年からは2年連続で70兆円を超え増加傾向にあることから、新規発生滞納額は底を打った平成25年(2013年)度から増加の兆しが見られ、令和3年度・4年度連続で7,000億円を超えている。

● 滞納税額の整理状況

 令和4年(2022年)度の滞納税の整理済額は7,104億円で、対前年度比で148億円(2.1%増)となっている。平成元年(1989年)度以降の整理済額の推移を見てみると、ピークは平成10年(1998年)度の1兆6,064億円であり、令和4年度の整理済額はそれとの比較では44.2%に相当する。また、平成18年(2006年)度以降、滞納税の整理済額は1兆円を割り込んでおり、平成21年(2009年)度以降は、5,000億円~8,000億円程度の範囲で推移している(直近の最低額は令和2年(2020年)度の5,184億円)。

 滞納税の整理を行った後の滞納残高については、令和4年(2022年)度末で8,949億円、対前年度末比で91億円(1.0%増)となっている。平成元年(1989年)度以降の滞納残高の推移を見てみると、ピークは平成10年(1998年)度の2兆8,149億円であり、令和4年度の滞納額はそれとの比較では31.8%に相当する。また、平成16年(2004年)度以降で滞納残高は2兆円を、また、平成27年(2015年)度以降で滞納残高は1兆円を割り込んでおり、それ以降は7,500億円~9,000億円程度の範囲で推移している(直近の最低額は令和元年(2019年)度の7,554億円)。

● 主要税目別の租税滞納状況

 滞納状況を税目別で見てみると、令和4年(2022年)度の新規発生滞納額の半分以上を消費税が占めている(50.4%)。以下、所得税29.9%(内訳:源泉所得税5.5%、申告所得税24.4%)、法人税13.3%、相続税5.1%の順になっている。この傾向は滞納税の整理済額においても同様に見られ、消費税53.1%、所得税28.5%(内訳:源泉所得税5.7%、申告所得税22.8%)、法人税12.2%、相続税5.0%の順になっている。

 滞納残高については、もっとも占率が高い税目は所得税の40.9%(内訳:源泉所得税12.6%、申告所得税28.3%)であり、消費税は38.1%と2番目の占率となっている(以下、法人税14.2%、相続税5.9%)。これは、消費税制自体が平成元年(1989年)スタートのため、新規発生滞納額や整理済額における占率に比べて低くなっていると考えられる。

出典:国税庁「令和4年度租税滞納状況の概要」

2023.11.13
(セールス手帖社 堀 雅哉)