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No.4571 中小M&Aガイドラインの改訂

● 中小M&Aガイドラインとは?

 中小企業庁が発行している、【中小M&Aガイドライン】をご存知だろうか。

 本ガイドラインは、中小M&Aの当事者となる中小企業・小規模事業者や、中小M&Aをサポートする各種支援機関の手引き・行動指針を示すことを目的として、令和2年3月に策定されたものだ。

 約3年たった今年9月、中小M&Aの市場拡大やM&A支援機関の増加といった市場環境の変化を踏まえて、中小企業・小規模事業者のM&Aを取り巻く課題に対応することを目的として本ガイドラインが改訂された。

● 課題とはどんなものがあるのか

 よく耳にするのが、契約のわかりにくさ、担当者による支援の質のばらつき、手数料体系のわかりにくさである。そのため、下記ポイントが特に拡充されている。

(1) 仲介者・FAの手数料の整理

 M&A専門業者の手数料に関し、実務上多く用いられる算定方式(レーマン方式)について、依頼者である中小企業において留意すべき点を明記し、また、設定されることが多い最低手数料について、その金額の分布状況や適用事例を紹介している。

(2) M&A専門業者の質の確保・向上に向けた取組

 支援の質の確保・向上に関し、M&A専門業者には、依頼者との間の契約上の義務を履行し、職業倫理を遵守することが求められる旨を明記。そのためには知識・能力の向上、適正な業務遂行を図ることが重要であり、個々のM&A専門業者や業界に求められる取組を紹介している。

(3) 仲介契約等の締結前の書面による重要事項の説明

 仲介契約・FA契約に関し、M&A専門業者は、契約締結前に契約に係る重要な事項を記載した書面を交付(電磁的方法による提供も可)して、明確な説明をすることを明記した。また、説明すべき重要な事項を見直すとともに、説明を受ける相手方、説明者、説明後の重要な検討時間の確保等も明記した。

(4) 直接交渉の制限に関する条項における留意点

 直接交渉の制限に関する条項の留意点に関する項目を新設し、制限される候補先、交渉目的および期間に関する留意点を明記した。

出典: 経済産業省|中小M&Aガイドライン(第2版)

 【(1)仲介者・FAの手数料の整理】について補足させて頂くと、M&A専門業者への手数料は、いくつかの種類と計算方法が存在し、請け負ってから成約までの進行過程で支払うタイミングがある。

 種類としては、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬などがある。成功報酬のみを設ける業者もいれば、着手金・中間金・成功報酬を設ける業者もいる。

 計算方法としては、レーマン方式や簿価純資産法、時価純資産法などがある一方で、定額としている業者もいる。
※ 詳細は本ガイドラインの52ページ以降をご確認頂きたい。

出典: 経済産業省|中小M&Aガイドライン(第2版)

 業者選定時、手数料の確認と併せて支払いのタイミングもご確認頂きたい。

 成功報酬は数百万円~数千万円と高額かつ一括払いであることが多いが、譲受側(買い手側)の場合、この支払いタイミングが譲渡側(売り手側)への譲渡額の支払いタイミングと同じとなる可能性があるため注意が必要である。

 M&A専門業者へ依頼する際は、ポイントを押さえて入念に確認されることをお勧めする。

● 事例でイメージ

 中小M&Aガイドラインの参考資料では、事例が18ケース掲載されている。

 成約に至ったケースもあれば、不成約に終わってしまったケースもある。本文からだけでは汲み取り難かった意味合いも、事例と併せて確認することでイメージしやすくなるのではないだろうか。是非ご覧頂けると幸いだ。

出典: 経済産業省|中小M&Aガイドライン(第2版)参考資料

2023.11.13

山崎 美穂(やまざき・みほ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
栃木県出身。一般企業で経理・総務を経験し、現法人へ。企業で役立つ支援策・補助金等の最新情報を収集、お役立ち情報としてSNSやホームページで発信中。
趣味は釣りと食べ歩き。

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