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No.4570 シニアのライフプランを考える

● シニアのライフプラン作成のキーワードは「家計の健康」・「身体の健康」・「心の健康」の3つ

 かつては、仕事を定年退職し、年金をもらいながら生きていくリタイア後の生活は「余生」と捉えられていた。2023年7月に厚生労働省が発表した「令和4年簡易生命表」によれば、男性の平均寿命(0歳の平均余命)は81.05年、女性の平均寿命は87.09年である。同様に平均余命で見てみると、男性は65歳で19.44年、75歳では12.04年であり、女性は65歳で24.30年、75歳では15.67年である。これらの数値を見てもわかるとおり、「人生100年時代」と言われるように、リタイア後の生活は長期間に及ぶ。

 また、心身の状態もかつてとは異なり、60代後半や70代となっても、体力・気力ともまだまだ十分にある。何をするにしてもお金はなくてはならないし、心も身体も健全で充実したものでありたい。シニアが自分らしく生きるためのライフプランを考えるためには、「家計の健康」「身体の健康」「心の健康」の3つが必要であると言える。

● 「家計の健康」について

 何をするにも避けて通れないのがお金の問題である。お金の使い方をできるだけ具体的にイメージして、必要となるお金をどうやって準備するのか、計画性を持つことが大切である。

 リタイア後の家計を考えるとき、中心になるのは退職金や公的年金であるが、気にしなければならないことも多い。退職金課税は、これまで優遇されてきたが、来年にも見直しが行われると言われている。また、令和5年度の国民年金や厚生年金の年金額は令和4年度よりも増えたが、物価の上昇を考慮すれば、実質的に生活が豊かになったとは言えない。

 「家計の健康」のためには、まずは我が家の資産と負債の状況を確認し、現状を把握することが必要である。そして将来の収入と支出を予測して、家計に問題がないかを確かめるために、100歳までの家計のキャッシュフロー表(直近10年間は1年刻み、その後は5年刻みくらいで)の作成をおすすめしたい。収入を増やす、生活費を削減する、ライフイベントを見直すことによって、自分らしく生きるためのライフプランに近づけることができるからだ。

● 「身体の健康」について

 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる「健康寿命」を延ばすことを意識したい。健康維持に努めるとともに、自分の健康状態を把握するために、健康診断を定期的に受診することが大切である。年齢が上がるほど病気に罹患する可能性は高くなるので、「家計の健康」面からも、公的医療保険や公的介護保険の内容を理解しておき、有効に活用したい。

● 「心の健康」について

 家計や身体が健康でも心が満たされていなければ自分らしく生きることはできない。心を満たすためには、これまでの人生を振り返り、自分を見つめ直して、やりたくてもできなかったことにチャレンジするなど「生きがいを見つけること」が何よりも大切である。

● シニアのライフプランは「家計の健康」「身体の健康」「心の健康」のバランスを保つことが肝要

 どれかひとつでも欠けると自分らしく生きるためのライフプランを作成することはできない。これら3つのバランスを保つことが大事である。

出典: 厚生労働省「令和4年簡易生命表」

2023.11.06

西海 重尚(にしうみ・しげひさ)

西海FP事務所 代表
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、終活アドバイサー、公的保険アドバイザー

慶応義塾大学経済学部卒。
33年間のサラリーマン生活において大手損害保険会社、生命保険会社、FP系出版社に勤務。
現在は独立系FPとなり、生命保険と相続の身近な相談相手として活動中。