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No.4525 少額な返還インボイスの交付義務免除

● 1万円未満の返品や値引きは返還インボイスが交付不要

 インボイス発行事業者が国内で行った課税資産の譲渡等につき、返品や値引き、割戻しなどの売上げに係る対価の返還等を行った場合には返還インボイスの交付義務があるが、その金額が税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除される。

 この措置については、適用期限や適用対象者について特段の制限はない。

 インボイス制度開始日である令和5年10月1日以降の課税資産の譲渡等につき行う売上げに係る対価の返還等について適用される。

● 売手が負担する振込手数料を売上値引きとして処理した場合

 売手からの代金請求について、取引当事者の合意の下で買手が振込手数料相当額を請求金額から差し引いて支払うことで売手が負担する商慣行がある。

 この取引につき、売手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合には、通常、当該振込手数料相当額は1万円未満となるので、当該売上値引きに係る返還インボイスの交付義務が免除される。

出典: 国税庁「少額な返還インボイスの交付義務免除の概要」

 なお、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従う。そのため、軽減税率(8%)対象の課税資産の譲渡等を対象とした振込手数料相当額の売上値引きには、軽減税率(8%)が適用される。

● 売手が負担する振込手数料を支払手数料として処理した場合

 売手が負担する振込手数料を支払手数料、すなわち課税仕入れとして処理している場合は、そもそも返還インボイスの交付の必要はない。この場合、売手が、請求金額から差し引かれた振込手数料相当額について、仕入税額控除の適用を受けるためには、買手や金融機関から交付を受けたインボイスの保存が必要となる。

 ただし、一定規模以下の事業者については、少額取引(1万円未満)について一定の帳簿のみの保存で仕入税額控除を可能とする特例措置の適用を受けることができる(令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れが対象の経過措置)。

 なお、売手が負担する振込手数料相当額について、経理処理を支払手数料としつつ、消費税法上、売上げに係る対価の返還等とすることも認められている。この場合であっても、売手が買手に対して売上げに係る対価の返還等を行った場合の適用税率は、売上げに係る対価の返還等の基となる課税資産の譲渡等の適用税率に従うことから、適用税率に応じた区分のほか、帳簿に売上げに係る対価の返還等に係る事項を記載する必要がある。

 この点、支払手数料のコードを売上げに係る対価の返還等と分かるように別に用意するといった、通常の支払手数料と判別できるように明らかにする対応が考えられる。

 このように、売手の負担する振込手数料相当額をどのように処理するかによって、必要となる事務手続きも変わる。今年10月1日のインボイス制度開始までには、取引先と処理方法について確認をされたい。

出典:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問30」

2023.08.14

木下 洋子(きのした ひろこ)

マネーコンシェルジュ税理士法人
群馬県出身。大学卒業後、会計事務所勤務を経て現法人へ。法人成り支援や節税対策・赤字対策など、中小企業経営者の参謀役を目指し、活動中。年に数回の小冊子発行など、事務所全体で執筆活動にも力を入れている。
趣味はピアノを弾くこと。

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