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No.4522 2024年4月から労働条件明示のルールが変わります

 正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、すべての労働者と労働契約を締結するとき、有期労働契約を更新するときには、使用者はその労働条件を明示しなければなりません。明示すべき事項には、すべての労働者に対して明示することが必要な『絶対的明示事項』と、制度がある場合に明示することが必要な『相対的明示事項』があります。

 2024年4月から労働条件明示のルールが変わり、明示すべき労働条件が追加されることとなりました。労働条件の明示は労働基準法で義務化されており、守られない場合は罰則が設けられています。労働者が安心・納得して働くためだけでなく、労使トラブルの回避にもつながる大切なものですので、労働条件明示事項及び変更のポイントについて確認しておきましょう。

● 絶対的明示事項

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(有期労働契約のみ)
  3. 就業場所・従事すべき業務に関する事項
  4. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇などに関する事項
  5. 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締め切り、支払いの時期、昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

● 相対的明示事項

  1. 退職金に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
  3. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  4. 安全・衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償・業務外の疾病扶助に関する事項
  7. 表彰・制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

● 新しく追加される明示事項

1. 就業の場所・業務の変更の範囲の明示

 すべての労働者に対し、すべての労働契約締結時および有期労働契約の更新のタイミングごとに、雇い入れ直後の就業場所、業務の内容に加え、これらの変更の範囲についても明示が必要となります。

2. 更新上限の明示

 有期契約労働者に対し、有期労働契約の締結と契約更新のタイミングごとに、更新上限(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容の明示が必要となります。最初の契約締結後、新たに更新上限を設ける場合、最初に設けていた更新上限を短縮する場合には、その理由を有期契約労働者にあらかじめ説明することが必要です。

3. 無期転換申込機会の明示

 有期契約労働者に対し、「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)の明示が必要になります。

4. 無期転換後の労働条件の明示

 有期契約労働者に対し、「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
 無期転換後の賃金等の労働条件決定にあたって、他の通常の労働者(正社員等)とのバランスを考慮した事項(業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲等)について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならないとされています。

【参考】労働条件明示改正リーフレット(厚労省)

2023.08.07

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。