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No.4359 労働者募集のルールが変わります

● 10月1日から改正職業安定法が施行

 求職者が安心して求職活動をできる環境の整備と、マッチング機能の質の向上を目的として、2022年10月1日から改正職業安定法が施行される。

 各企業は求人募集にかなり力を入れているが、求人媒体に掲載するのと同じように、自社のウェブサイト等にも求人情報を掲載している会社は多い。労働者の募集については法律に抵触することがあってはいけないので経営幹部、採用担当者、ウェブサイト担当者等求人募集に関係するすべての人は基本的なルールはもちろんのこと今回の改正内容もあわせて押さえておきたい。

● 求人等に関する情報を的確に表示する義務がある

 主な改正のポイントは、求人等に関する情報の的確な表示義務である。

 求人企業に対し、「求人情報」や「自社に関する情報」について的確な表示が義務付けられることになった。対象となる情報は、広告や連絡手段を通じて提供される求人情報・求職者情報が幅広く対象となる。たとえば、新聞・雑誌・その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出・頒布、書面、ファックス、ウェブサイト、電子メール・メッセージアプリ・アプリ等、放送(テレビ・ラジオ等)、オンデマンド放送等とても広範囲に及ぶ。

 求人情報の公開に際しては、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示はしてはならない。また、以下の措置を行うなど、求人情報を正確・最新の内容に保つ措置を講じなければならない。

  • 募集を終了・内容変更したら、速やかに募集に関する情報の提供を終了・内容を変更する。
    例:自社の採用ウェブサイト等を速やかに更新する。
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう速やかに依頼する。
  • いつの時点の求人情報か明らかにする。
    例:募集を開始した時点、内容を変更した時点 等
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者から、求人情報の訂正・変更を依頼された場合には、速やかに対応する。

● 自社に関する虚偽表示を絶対に行わない

 自社に関する情報については、 上場企業でないにも関わらず上場企業であると表示したり、実際の業種と異なる業種を記載したりしないようにする必要がある。

 虚偽の表示ではなくとも、一般的・客観的に誤解を生じさせるような表示は「誤解を生じさせる表示」に該当するので、例えば以下のようなものは表示してはならない。

  • 営業職中心の業務を「事務職」と表示する。
  • 契約社員の募集を「試用期間中は契約社員」など、正社員の募集であるかのように表示する。
  • 固定残業代の場合に、基礎となる労働時間数等を表示せずに基本給に含めて表示する。
  • 優れた実績を持つグループ会社の情報を大きく記載する等、求人企業とグループ企業が混同されるような表示をする。

 虚偽の情報を掲載・表示したり、誤解を生じさせる掲載・表示をしていると求職者側には悪い噂となって広まることだろう。もちろん、明確な法律違反となってしまうので、社内の現状を調査し、修正が必要なところは法改正施行日前に速やかに対応すべきである。

参照:厚生労働省「令和4年職業安定法の改正について」

2022.09.26

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/