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No.4343 メンタル不調で休業・退職した者がいる事業所は1割

● 10~29人の事業所でも休業・退職者がいる割合は5.4%

 厚生労働省は2021年の「労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」を公表している。それによると2020年11月1日~2021年10月31日までの1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%(前年調査では9.2%)であった。このうち、連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合は8.8%(同7.8%)、退職した労働者がいた事業所の割合は4.1%(同3.7%)となっている。

 また、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者の割合は0.5%(同0.4%)、退職した労働者の割合は0.2%(同0.1%)となっている。

 事業所の人数が多いほどその割合は高くなる傾向にあるが、連続1か月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所を規模別でみると、30~49人の事業所で9.2%、10~29人の事業所でも5.4%あった。中小企業においても何らかのメンタルヘルス対策が必要ではないかと思われる調査結果となった。

● おもな対策はストレスチェック、65%の事業所が実施

 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は59.2%(前年調査では61.4%)となっている。対策に取り組んでいる事業所に尋ねた取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの実施」が65.2%(同62.7%)と最も多く、次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が54.7%(同55.5%)、「メンタルヘルス対策に関する事業所内での相談体制の整備」が50.2%(同50.7%)となっている。

 ストレスチェックは実施している事業所の割合が高いが、これは50人以上の場合、法律で義務となっているからである。50人未満の事業所であれば努力義務となるので中小企業においては時間もお金もかかるこのストレスチェックをしっかり行うのは少しハードルが高いと思われているようだ。事業所規模別のストレスチェック実施割合をみると、30~49人の事業所は63.3%、10~29人の事業所は53.7%であり、50人以上の事業所と比べて差があったことは事実である。

 ストレスチェック制度を導入することは容易ではないが、形式にとらわれないで実行できる簡単な職場環境アンケートや完全無記名方式のアンケート調査などは効果が期待できるので、まずはできることから実行に移し、予防に努める活動こそが大事であるといえるのではないだろうか。

参照:厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況」

2022.08.22

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/