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No.4316 サポートカー限定免許、本当に必要なの?

 令和4年5月13日、改正道路交通法が施行されました。高齢ドライバーの交通事故の増加傾向を受け、高齢運転者への事故防止対策が強化されています。その内容を確認してみましょう。

● 高齢運転者に2つの制度を新たに追加

 今回の改正では、「運転技能検査(実車試験)」「安全運転サポート車等限定条件付免許」の2点が、新たに創設されました。

 運転技能検査(実車試験)は、一定の違反歴のある75歳以上の普通自動車対応免許保持者について、実車を使った運転技能検査が義務付けられるもの。違反歴は、速度超過や信号無視など11種類を「基準違反行為」(下図参照)と定め、過去3年以内にこれらの中で一つでも該当する違反がある人が対象になります。

 免許更新前に、加齢による身体機能の低下がないかどうかを、実車の運転という課題を通じて判断するのがこの検査の目的です。


* 警視庁「令和4年5月13日改正道路交通法の施行について」資料より

 検査方法は、車で試験コースを走り、指示速度による走行、一時停止、右折・左折、信号通過、段差乗り上げなどの課題を実施。100点満点からの減点方式で70点以上(普通自動車免許の場合)であれば合格です。免許有効期限の6か月前から繰り返し受検できますが、この間に合格しないと免許の更新はできません。

● 直接的なメリットはないサポートカー限定免許

 もうひとつの、安全運転サポート車等限定条件付免許は、「衝突被害軽減ブレーキ」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」機能のある、普通自動車に限って運転できる免許です。これらの機能は、車種によっては後付で装備できるものもありますが、後付けでつけた車については、この免許では運転できません。

 サポートカー限定免許は、あくまでも自主的に申請する制度のため、いまひとつ切り替えるメリットが感じられません。限定免許にすることで、高齢ドライバーに対して事故の軽減や安全運転意識の向上を目指すことが主目的と思われます。

 ただ、この免許の普及をすすめるのなら、税制面や限定免許に切り替えた人へのサポートカー買替え補助などの支援措置なども必要でしょう。

 今回の2つの高齢運転者への事故防止対策が、どの程度効果を上げるのかは未知数です。免許の更新が複雑化することで、免許返納者が増えるのか? 今後の動向が気になるところではあります。

参考:
 警視庁「令和4年5月13日施行改正道路交通法について」
 警察庁「サポートカー限定免許について(令和4年5月13日以降)」
 警視庁「サポートカー限定条件の申請手続をする方へ」

2022.06.27

高橋 浩史 (たかはし・ひろし)

FPライフレックス 代表(住まいと保険と資産管理 千葉支部)
日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFPR
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京都出身。デザイン会社、百貨店、広告代理店などでグラフィックデザイナーとして20年間活動。
その後、出版社で編集者として在職中にファイナンシャル・プランナー資格を取得。2011年独立系FP事務所FPライフレックス開業。
住宅や保険など一生涯で高額な買い物時に、お金で失敗しないための資金計画や保障選びのコンサルタントとして活動中。
その他、金融機関や出版社でのセミナー講師、書籍や雑誌での執筆業務も行う。

ホームページ http://www.fpliflex.com
ブログ http://ameblo.jp/kuntafp/