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No.4276 令和4年度雇用保険料率 段階的引き上げへ

● 給与計算や年度更新時に注意が必要

 雇用保険料率は、平成29年度以降令和3年度まで据え置かれてきましたが、令和4年4月および10月に、段階的に引き上げられることが、この度閣議決定されました。これは、コロナ禍で雇用調整助成金等の給付が急増し、財源が枯渇したことが主な理由とされています。

 雇用保険料率は労働者と事業主が折半で負担する分(失業保険や育児休業給付金に充てるもの)と、全額事業主が負担する分(雇用調整助成金など雇用保険2事業に充てるもの)に分かれています。4月からは、雇用保険二事業に対する料率の引き上げ(事業主のみ負担増)、10月からは失業等給付に対する料率が引き上げ(労働者、事業主とも負担増)となります。

 引き上げによる負担増の影響だけでなく、段階的な引き上げによる給与計算や年度更新時の事務ミスの防止など、気を付けていく必要があります。

☆雇用保険料率☆

事業の種類 ~令和4年3月(現在) 令和4年4月~9月 令和4年10月~
一般の事業 労働者 3/1000
事業主 6/1000
(うち二事業 3/1000)
全 体 9/1000
労働者 3/1000
事業主 6.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全 体 9.5/1000
労働者 5/1000
事業主 8.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全 体 13.5/1000
農林水産および清酒製造業 労働者 4/1000
事業主 7/1000
(うち二事業 3/1000)
全 体 11/1000
労働者 4/1000
事業主 7.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全 体 11.5/1000
労働者 6/1000
事業主 9.5/1000
(うち二事業 3.5/1000)
全 体 15.5/1000
建設業 労働者 4/1000
事業主 8/1000
(うち二事業 4/1000)
全 体 12/1000
労働者 4/1000
事業主 8.5/1000
(うち二事業 4.5/1000)
全 体 12.5/1000
労働者 6/1000
事業主 10.5/1000
(うち二事業 4.5/1000)
全 体 16.5/1000

● その他の改定事項

今回の雇用保険法改正では、雇用情勢が悪化した場合に、一般会計から雇用保険に資金を投入できることとされました。

 また、労働者が会社を辞めて起業する場合、失業保険を受給する権利がある期間を、現在の1年から4年に延長できる措置が、令和4年7月から導入されることとなりました。

 この他、インターネットを介した求人情報サイトについて、国への届け出を義務付ける制度を導入し、運営事業者の名称や所在地などを報告させ、必要に応じて行政処分を下せるよう、悪質な業者を排除する取り組みが、令和4年度中に施行される予定となっています。

参照: 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要(厚労省)

2022.04.11

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。