お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4271 男性育休取得者の半数以上が「効率的に仕事を行うようになった」

● 男性が家事、育児を行うことのメリットはたくさんある

 公益財団法人21世紀職業財団は、「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」を行い、その調査結果を発表した。ミレニアル世代を26歳~40歳(1980年~1995年生まれ)の年齢層と規定し、「その上の世代と比べると、男女平等の環境の中で、働き、子どもを育てている」とミレニアル世代の特徴を指摘している。

 育児休業を取得した男性が家事・育児を行ってよかったこととして、「効率的に仕事を行うようになった」(55.7%)、「視野が広がり、これまでと違った発想ができるようになった」(32.9%)、「仕事に対するモチベーションが向上した」(22.5%)、「職場の同僚や部下の家庭環境等に充分配慮した対応を取りやすくなった」(22.5%)などをメリットに挙げている。

 働き方改革が進む中では生産性の向上を常に求められているが、男性が進んで家事・育児を行うことによるメリットはとても大きく、これらが組織に浸透していくことで働きやすい環境になっていくものと思われる。

● 夫の「お迎え」は、妻のキャリア形成に好影響

 配偶者(夫)が子どもの保育園や幼稚園の「お迎え」を1週間にどのくらいしているか、その割合別に本人(女性)のキャリアアップ状況を尋ねたところ、配偶者(夫)のお迎え割合が週の20%以上の女性は0%(全くしてもらっていない)の女性に比べ、自分がキャリアアップできていると思う割合が高かった。夫が週の20%お迎えをするということは、週1回でも妻は子育ての心配をせずに働くことができるわけで、妻のキャリア形成に好影響があることが示唆されている。

 最近はテレワークも浸透してきており、テレワークの日は夫が保育園等に迎えに行くというルールにしている家庭もあるようだ。お迎えが妻の役割と決まっているわけでもないので、都合の良いほうが迎えに行くという合理的な考え方があってもよいだろう。

● 新しい発想は様々な経験を通じて見いだせる

 同調査結果を読むと、新しい発想は様々な経験を通じて見いだせることを再認識させられ、時間の長さではなく、時間当たりの生産性を適切に評価する制度立案と運用を徹底することと同時に、仕事を終わらせたら周囲に気兼ねなく定時退社できる職場風土であることが必要であるということがわかる。これを経営課題として受け止めて、どのように解決していくのかが、今後すべての社員が生産性を向上させることができる組織に変革していく鍵となるのではないだろうか。

参照:公益財団法人21世紀職業財団「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」

2022.04.04

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/