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No.4266 確定申告での医療費控除~「医療費通知」の活用

 和3年度の確定申告が始まっている。

 事業所得者など、確定申告を「しなければならない」人のほかに、サラリーマンが年末調整で受けられなかった控除を受ける場合のように、「申告することができる」人がいる。

 「申告することができる」とは、年末調整が済んでいる人など、確定申告の義務がない人で、確定申告をすることにより納税額が減少する(この場合、年末調整された税金の一部が還付される)ような場合である。義務ではないので、申告する必要はないが、申告しなければ還付を受けることができない。

● 医療費控除を受けるための手続き

 年末調整が終わっている人が確定申告をする場合、医療費控除の申告をすることも多いだろう。医療費控除を受けるためには、医療機関から受け取った領収証を保管し、それらを集計して医療費の金額を出すことになる。

 確定申告書には、医療費の領収書にもとづいて作成した「医療費控除の明細書」を添付する必要がある。「医療費控除の明細書」には、治療を受けた人の氏名、病院等の支払先、支払った医療費など必要項目を記載する。

● 「医療費通知」があれば記載の省略可能

 「医療費控除の明細書」作成時に、手元に「医療費通知」がある場合は、それに記載されている分については、明細書に詳細を記入する必要はなく、一部の記載を省略できる。

 この「医療費通知」は医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類で、所定の事項の記載があるもののことで、例えば全国健康保険協会(協会けんぽ)の発行する「医療費のお知らせ」などがある。

 協会けんぽの「医療費のお知らせ」を例にとると、前年9月までの利用分について1月中旬から順次発送される。確定申告にちょうど間に合うようなタイミングである。

 10月から12月に支払った医療費については、「医療費のお知らせ」には記載されていないため、領収書を保存し、「医療費控除の明細書」に記載する必要がある。確定申告書の提出に際して、領収書そのものを添付する必要はないが、税務署は必要な場合に領収書の提出等を求めることができることになっているため、提出はしないものの5年間は保管しておく必要がある。なお、領収書を保存していない人でも、「医療費のお知らせ」に記載された分については控除を受けることができる。領収書を保存しておらず、あきらめていた人も、もう一度確認してみてはどうだろうか。

参考:
 国税庁「医療費控除に関する手続について(Q&A)」
 全国健康保険協会「「医療費のお知らせ」を1月14日より順次発送します。」

2022.03.14
(セールス手帖社 田中一司)