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No.4263 職場での雑談は「プラスである」が8割以上

● コロナ禍で働き方が激変したことによる気づき

 一般社団法人日本能率協会がこのほど調査した「テレワークの実施状況」と「職場メンバーとの雑談機会と効果」によると、雑談があることは(回答者)自身にとって「プラスである」と8割以上が回答しており、コロナ禍で働き方が激変するなか、雑談の効果を再認識する結果となった。たかが雑談だが、この結果を受け止め、会社として今後どのように対応するのがいいのか考えるきっかけにしたい。

● 対面での会話のほうが利便性を感じているから?

 仕事中に職場メンバーとどのように雑談しているかという雑談の機会についての質問では、テレワークの有無に関わらず、「オフィス出勤時に対面で行う」が全体の約7割(72.9%)を占めた(内訳は、テレワークを行っている人の場合70.5%、テレワークを行っていない人の場合74.0%)。

 テレワークを行っている人は行っていない人よりも、ZOOMやTeamsなどの「オンラインでの会議システム」(49.8%)、「メール等」(37.1%)、チャットやSlackなどの「メール以外の会社のコミュニケーションツール」(31.4%)を雑談に活用する傾向があることがわかる。

 しかし、オンライン会議やコミュニケーションツールの利用よりも、対面での会話のほうが圧倒的に高い数値になったのは、相手の顔が見えたり、その場の空気を読んだりすることができる点に利便性を感じているからではないかと同調査では分析しており、その効果については気になるところである。

● 6割が雑談は業務の生産性及び創造性を高めると回答

 1週間を振り返った雑談頻度についての質問では、「ほぼ毎日、雑談する機会があった」人の割合を見てみると、テレワークを行っていない人は約5割だったのに対し、テレワークを行っている人は約2割とその差は倍以上となった。テレワークをすると職場での雑談の機会が失われるということだろう。

 新型コロナウイルス感染症の拡大前と比較して職場メンバーとの雑談をしにくくなったかという質問では、「雑談がしにくいと感じる」人の割合で見てみると、テレワークを行っている人は8割以上だったのに対し、テレワークを行っていない人は約4割とその差は2倍だった。テレワークをすると雑談がしにくいと感じている人が多いことがわかる。

 また、雑談をしにくくなったと感じる理由を、テレワークを行っている人の回答で見てみると、「テレワークで対面機会が減ったから」(60.0%)がトップで、次いで「対面でもソーシャルディスタンスが必要だから」(28.6%)、「オンライン会議が増えて、時間が限れているため」(22.5%)と続く。

 雑談に関しては、業務の「生産性を高める」「創造性を高める」ことにつながっているとの回答が約6割。さらに「人間関係を深める」ことにつながっていると約7割が回答しており、日常で何気なく行っていた雑談がテレワークによる機会喪失を経験したことで、そのありがたみを再認識したといえる。

 新型コロナウイルス感染症収束後においてもテレワークが継続されるとなると、各企業としてはオンラインでのコミュニケーションツールを、時にはインフォーマルな雑談に活用するといった工夫をしていくことも必要であろう。オフィスにおける働き方についても、社員が相互に交流できるような場や時間を意識的に設けていくことが重要である。今後は雑談を活用し、コミュニケーションを活性化することで成果をあげる管理職が求められるようになるかもしれない。

参照: 一般社団法人日本能率協会 2021年「ビジネスパーソン1000人調査」【雑談機会と効果】

2022.03.14

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/