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No.4260 「消費税還付申告に関する国税当局の対応」を公表

● 消費税還付申告に対する当局の姿勢を改めて明示

 消費税は輸出免税や免税店における免税販売が主要な事業である場合や、高額な設備投資を行った場合などに、還付申告書を提出することで還付金を受けることができる仕組みだ。消費税の不正還付は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性が高い行為であるため、国税当局は特に厳正な調査を実施している。

 2022年1月、国税庁は「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」を公表した。

 それによると、「消費税の還付申告の中には各取引に関する課税取引や非課税取引といった区分の誤りや固定資産等の取得時期の誤りなども見受けられる」と指摘。

 国税当局は、提出された還付申告書については、申告内容に応じて、還付金の支払い手続きを保留した上で厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行うことで、消費税の不正還付防止に努めている。

 今回の「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」は、国税当局の対応が変わるものではなく、当局の姿勢を改めて明示したものといえる。

● 行政指導や実地調査で取引実態を確認

 このため、国税当局の具体的な対応としては、各種情報に照らして必要があると認められる場合は、還付金の支払いをいったん保留しつつ、還付申告の原因を確認するため、行政指導を行う。

 電話等による確認書類(例えば、還付申告の主な原因が輸出免税である場合には輸出許可通知書やインボイス等の写し、設備投資である場合には契約書や請求書等の写しのほか、取引実態の確認できる資料)の提出を要請することや、実地調査を実施する場合もある。

 また、還付申告の原因の確認に当たっては、個別具体的な各種の事情に応じた対応を行う。そのため、例えば課税仕入れや免税取引等の相手方と連絡が取れないことなどにより取引の実態の確認が困難である場合や、取引に係る金銭授受の事実確認が困難である場合、輸出等に係る証拠書類が適切に保管されていない場合など、原因確認に時間を要するケースでは、還付を保留する期間が長期にわたる場合があるとしている。

 消費税の還付申告書の提出から還付が決定されるまでの期間は、個々の申告状況に応じて異なるが、なかには半年から1年に及ぶこともあるようだ。

 国税当局としては、可能な限り速やかに実態の確認等に努めるとともに、これらの結果、還付税額が過大と認められる事由がないことが判明した場合には、遅滞なく還付を行うこととしているとして、納税者の理解と協力を呼びかけている。

参考:国税庁「消費税還付申告に関する国税当局の対応について」

2022.03.07

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
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http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php