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No.4228 令和3年版「過労死等防止対策白書」が公表されました

 「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法に基づき、国会に報告を行う法定白書であり、令和3年版で6回目となります。過労死等防止対策推進法は、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる過労死等のない社会の実現に寄与すること、過労死等に関する実態を明らかにし、その成果を効果的な防止のために生かすことができるようにすることを目的としています。

 またその重要性について国民の自覚を促し、関心と理解を深めること、国、地方公共団体、事業主その他関係する者の相互の密接な連携のもとに行われなければならないことを基本理念としています。

 そのため政府は、過労死等の防止のための対策に関する大綱を定め、おおむね3年をめどに見直すこととしており、今年の白書でその変更等が記載されました。

● 過労死等とは

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患・精神障害

● 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」変更のポイント

1. 過労死等防止対策の主な取組として、新たに大綱に定められた取組

  1. 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対応(医療現場等での過重労働)やテレワーク等の新しい働き方を踏まえた取組を進めること
  2. 調査研究について、重点業種等(自動車運転従事業者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界)に加え、新しい働き方や社会情勢の変化に応じた対象(テレワーク、副業・兼業、フリーランス)を追加すること。また、これまでの調査研究成果を活用した過労死等防止対策支援ツールの開発等のための研究を行うこと
  3. 過労死等で親を亡くした遺児の健全な成長をサポートするための相談対応を実施すること
  4. 長時間労働の削減に向けた取組、過重労働による健康障害の防止対策、メンタルヘルス対策、ハラスメント防止等について、更なる推進を図っていくこと。また公務員についても目標の趣旨を踏まえて必要な取組を推進すること

2. 数値目標の設定

  1. 週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の割合を5%以下(令和7年まで)
  2. 労働者数30人以上の企業のうち、
    (1) 勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満(令和7年まで)
    (2) 勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上(令和7年まで)
     特に中小企業への導入に向けた取組を推進する。
  3. 年次有給休暇の取得率を70%以上(令和7年まで)
  4. メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(令和4年まで)
  5. 仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上(令和4年まで)
  6. ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(令和4年まで)

参照:過労死等防止対策白書(厚生労働省)

2021.12.27

沖田 眞紀(おきた・まき)

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。