お客様のお役に立つ JAIFA学習帖

  • サイト内検索:

No.4194 民間平均給与、正規・非正規の差が初めて縮小

● 平均給与は正規496万円、非正規176万円

 国税庁が公表した令和2年分民間給与実態統計調査結果によると、1年間を通して民間企業に勤めた給与所得者の平均給与は433万円で、前年に比べ0.8%(3万円)減少したことが分かった。平均給与は2年連続の減少である。

 正規、非正規別にみると、1人当たりの平均給与は、正規が同1.5%減の496万円となった一方、非正規は同0.9%増の176万円と増加したが、2.8倍の差がある。しかし、正規と非正規の平均給与の差は320万円となり、統計を取り始めた平成24年分以後、初めて差が縮小している。平均給料・手当は、正規が同0.3%減の407万円、非正規は同1.3%増の168万円、賞与は、正規が同8.1%減の89万円、非正規は同6.0%減の8万円だった。

 男女別の平均給与は、男性が前年比1.4%減の532万円、女性は過去最高額だった前年から1.0%減の293万円となっている。

● 平均賞与はリーマンショック以来の減少率を記録

 給与所得者のうち、1年を通じて勤務した給与所得者数は、前年比0.2%減の5,245万人(正規3,483万人、非正規1,203万人)と微減となった。その平均給与433万円の内訳は、平均給料・手当が同0.7%増の369万円と増加に転じたが、賞与は同8.1%減の65万円と、大きく減少した。

 この平均賞与の減少率8.1%は、リーマンショック後の平成21年調査(13.2%減)以来の減少率である。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて宿泊業や飲食業を中心に業況が低迷したことが要因とみられる。

 全体を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者5,245万人のうち、源泉徴収により所得税を納税している人は全体の84.9%(前年と同じ)を占める4,452万人で、その人数は前年より0.2%減少した。その納税額(源泉徴収税額)は10兆7,126億円で、納税者の給与総額に占める税額の割合は5.07%(前年5.04%)で、納税額は前年に比べ0.6%減少している。なお、給与総額全体に占める税額の割合は4.72%(同4.70%)だった。

 令和2年12月31日現在の給与所得者数は、前年に比べ1.0%減の5,928万人。給与総額は219兆2,054億円(前年比5.4%減)、所得税額は10兆3,411億円(同7.2%減)となっている。

参考資料:国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査について」

2021.10.25

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php