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No.4193 人事労務の書類は何年保存すればいい?

● ペーパーレス化をすすめる

 会社で人事労務業務を担当している人にとって、紙の書類がどんどん増えてスペースが足りなくなり困っているケースも多いと思われる。整理するにしても大事なものも多く、かなり前のものであっても捨てていいのか判断に迷うこともよくあるようだ。人事労務に関する書類には保存期間が決められているものが多いので、その期間を理解したうえで整理していくのが望ましい。

 時代はペーパーレス化ということで、当然ながら書類をデータ化して保存しておいてもかまわない。まずは正しい保存期間を理解し、そのうえでどういう方法で管理していけばいいのか考えてはいかがだろうか。法律で定めのある人事労務に関する書類の保存期間について、以下にまとめておくこととする。

● 出勤簿、賃金台帳は5年保存義務

 人事労務に関する書類のうち、期間が長いものについてはそれなりの理由があるので取り扱いには十分に注意したい。労働基準法関連については、「労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」とされており、これらについては5年間(当分の間は3年間)保存しておかなければならない。雇用契約書、労働条件通知書、解雇通知書なども該当の書類となる。なお、賃金台帳に関しては国税通則法では7年保存を義務付けているので頭に入れておこう。

 労働安全衛生法関連については、一般健康診断個人票が5年の保存義務となっている。雇入時の健康診断や定期健康診断等を実施した際、会社は一般健康診断個人票を作成しないといけないことになっているが、このあたりの書類の保存期間が曖昧になっている可能性もあるので意識しておきたい。また、衛生委員会等の議事録については、3年間の保存義務があるのであわせて覚えておきたい。

● 労働保険及び社会保険関連は2~4年

 次に、労働保険(雇用保険含む)及び社会保険に関連する書類の保存期間は、その内容により下記のとおり分かれている。

雇用保険の被保険者に関する書類 4年
その他雇用保険に関する書類 2年
労働保険料の徴収・納付等に関する書類 3年
労災保険に関する書類 3年
社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関する書類 2年

 書類の保存期間については、全部の書類を丁寧に10年以上保存している経営者もいれば、あっさり1年くらい経過したら退職者の雇用契約書などを捨ててしまっている経営者もいると聞いたことがある。後からトラブルになったときの証拠になる雇用契約書や労働条件通知書は、大切な書類なので最低でも保存義務期間は守っておきたい。

 最後にこれだけ書類の保存期間などがバラバラであることを考えると、保管する際に廃棄可能になる年月日などを記載しておくとわかりやすいと思われる。また、保存義務期間が過ぎたら即廃棄にするのではなく、期間に少し余裕をもっておいたほうがいいことも多いので、そのあたりは状況に応じて柔軟に対応したい。

2021.10.25

庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表
社会保険労務士 人事コンサルタント

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/